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第124話

「……んぁ……あぁ……」 愛撫で派手に喘ぐタイプではないが、焦らして焦らしてオネダリされながら突っ込むと、その後の乱れ方はすぐにでも持っていかれそうなほど感覚も視覚も目を奪われる。 女のように胸が膨らんでるわけではない。別に胸が大きかろうが小さかろうが興味もない。だからといって男が好きなのか、と聞かれれば、この自分の下で喘いでる人以外には全く興味がない。仕事上、全ての性の人間と関わってきた。良くも悪くも他人に興味が無いタイプの人間だということは嫌というほどわかっている。 それほどに興味の対象でしかないこの人は、特殊な人種だろう。パソコンに向かって仕事をしてる姿は凛々しいほどだし、コーヒーを淹れてくれる時は専属のバリスタのようだし、子供たちがいれば母親の顔を見せる。キスをすればすぐ恥じらうし、肌を重ねて理性のあるうちは恥じらってるくせに理性を飛ばせば妖艶に誘ってくる。だから抑えが効かなくなり溺れる。意識を失うまで抱き潰せば、寝顔は少年のようだ。色んな表情を追うのが忙しいくらいのこの人は、健気な程に樹を尊重してくれる。 発情期の今は、毎晩精を注いでやらなければならないが、むしろ大歓迎だ。スキャンダルに足を掬われたことは無い。誰に誘われても興味が持てなかったから。雅を抱いてる時は必ずラット状態に入るし2人の匂いが混じった時なの匂いも相性の良さを感じる。自分の匂いは好きじゃない。でも雅の匂いはたまらなく好きだ。だから強引に発情させるくらい欲しいと感じた人なんだろう。 最初に関係を持った時も嫌がる雅を強引に発情させて処女だった雅を抱いたというのだから、樹自身も何らかの焦りを感じていたのかもしれない。どうしても雅を番にしたい、雅が欲しくて仕方なかったんだと思う。抱いてる今ですら雅を求めて止まない。 「はぁ……そこばっかり……ダメぇ……」 「ここがいいんじゃないの?あとこっちも……」 身体中に手を舌を這わせる。胸の尖りを舌で転がしながら脇腹を撫でるように擽りながら互いの性器を擦り合わせると雅の先走りで濡れぼそったそこは滑りがよくクチュクチュと音を立てながら裏筋を擦り合わせる。樹自身もかなり気持ちいい。 「…やぁ……イッちゃ……やっ……ダメぇ……」 「……いいよ、イキなよ、ほら、イケ」 脇を撫でてた手を腰に固定して強く擦れば、 「やぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」 長い喘ぎで蜜を放つ。指でその蜜を絡め取り自身に塗りつけて後孔へとそのまま挿入すればまた悲鳴のような声を上げ理性を飛ばす。 「やっ、イッてるのに……やぁ……」 ビクビクと締め付けてくる感覚が気持ちいい。ゆるゆると腰を動かすとそれはまた樹を締め付けてくる。最初はゆっくりと焦らすように腰を動かしながらキスで口の中を潤してやる。喘ぎすぎて口の中がカラカラになっているそこに唾液を注ぎ喉を潤せば、雅も体制を入れ替え、自分の唾液をこちらに注ぎ込む。お互いに唾液の交換をしながら下から突き上げればキスが続かなくなって背が反り返る。1度放出した雅自身もまた上を向いて愉悦の雫を流している。 先端を擦るように指で割れ目と先端を擦れば自分から腰が跳ねて落ちて歓喜の声を上げる。 そのうちに雅は自分で腰を動かし始めて、はぁ、と熱い息を零しながらゆっくりとその動きを始める。腹筋で起き上がりキスをすればそのままトンッと押し戻される。自分で良いところを探すような動きをしばらくしているが、動いてくれている分、こちらも気持ちが良いけれど刺激にしては物足りない。 たぶん、それは雅も同じなのだろう。男としての本能がそうさせるのか、自分で動きたくなるのだろう。相手を気持ち良くさせたい、その気持ちはものすごくわかる。その気持ちに突き動かされて樹も雅もお互いに気持ちよくなりたいのだ。そのうちに上手く動けなくやってこちらを見て助けを求めるだろう。 ここで眸が合わさったら妖艶タイムの始まりだ。

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