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第125話

下を向いていた雅の眸がゆっくりとこちらへと上がってくる。蕩けた眸の雅と眸が合わさる。見つめあったまま雅の腰を掴み前後に揺らしながら軽く下から突き上げる。喘ぎながらもその視線は外れない。もっと、と強請るような視線で煽りを入れてくる。 ――っとに、こんな姿、誰にも見せたくねぇわ ゾクッと腰に来たから少し熱が膨らむ。それにも声をこぼし、少しだけ、悲しそうに微笑む。悲しくさせてるつもりはないが、行き過ぎた快楽で生理的に流れる涙の跡がそういう風に見せてしまうのだろう。 誘われるがままに下から強く突き上げてやれば目を細めてガクガクと揺さぶられるが、だからといって眸を逸らすことは無い。ラット状態だから抜くことも出来ない。体位を入れ替える時は慎重にしなければならないが、突き上げながら半身を起こして対面座位で突き上げながら口唇に一瞬だけ触れれば、後頭部を抱え込みながら深い口付けを求めてくる。互いに目を細め、息を切らせながら、舌を絡め唾液を絡めながら夢中で貪る。目をそらすことを異様に嫌がるようにも見える。だから甘く蕩けた表情を見るのは嫌じゃないし、こちらも見つめていたいから見つめて反応を見ながら、奥を突く。 堪えきれなくなって口を少し離して喘ぐ 「……あっ……イィ……もっと……あぁん!!」 それまでの耐えるような喘ぎとは真逆に大胆に求めてくる。 「ココがいいの?ここの何がいいの?」 普段は言わないから少し意地悪をしたくなる。 「あっ、そこォ……きも……ちぃ……たつ……きの……おっきぃのでグリグリして……あぁ……」 言わせてる最中に揺すってやれば、また大きく喘ぐ。イキたくなるのか内壁が大きく締め付けて煽動する。持ってかれそうになるのを耐えながら軽く突きながらその波が去るのを待つ。 より深く挿入してる状態で喘ぎながらも微笑むその姿が酷く妖艶に見える。誘っているのか、誘われてるのか、わからない。その性質(たち)の悪い微笑みに翻弄されてるのは間違いなく樹だ。 むせかえる程の甘い香りが充満した部屋で、肌を重ねているという行為がこの記憶の年齢の時には思いもしなかった。油断したら溺れてしまいそうだ、と思う。 「あっ、あぁ、ンンッ……はぁ……んッ」 目の前で喘いでるその表情、姿に支配欲が満たされる。髪をくしゃくしゃに乱しながら、喘ぐ口唇を噛み付くように塞ぐと雅の方から舌を伸ばしてきて絡めてくる。舌を絡めながら上顎に下を伸ばすとピクっと肩を揺らして中を締め付ける。少し強く突き上げれば軽くイッて少しの白濁を飛ばす。 「……やっ、イッちゃ……」 「そのままイケよ……ほら……イケ!」 強く少し速度をあげれば 「イッ、やぁぁぁぁぁぁぁぁぁ……」 繋がってる腹の間に熱い飛沫が散る。 そのまま押し倒し、足を肩にかけて深く激しく突いてやればもう言葉にもならない悲鳴のような嬌声を上げて頭を振っている自分がイク為に締め付けて来る内壁を擦り上げてその腰を打付ける。 「……っっ……イクよ?……」 そう耳元で囁けばコクコクと頷く。 「……やっ、また……イク……」 雅が熱を放つと同時に樹も中に精を吐き出した。αの射精はここからがまだ長い。その精が打付ける度にΩはオーガズムを刺激される。イキっぱなしの状態で精を受け止めるのだ。αがΩを確実に妊娠させる為だ。それが本来のαとΩの形であり、αを産む確率が高いΩほど利用されやすい。抑制剤、ピル、アフターピルが用意されているのもΩが望まない妊娠を防ぐ為でもある。休むことなく雅の顔中にキスをしながらその精が吐き出し終わるまで抱きしめながらお互いを感じ合う。 浬と昶と年の差を考えても、雅はポンポン産めるタイプではないことを物語ってる気がした。ただ、発情期は精を受けないとΩは苦しい思いをしてしまう。普通のΩなら抑制剤が効くが、雅の場合は準備期間が必要だし、今回は強引に発情させてしまったから終わるまでの間は、子供たちを早々に寝かしつけてイチャつくしかない。子供たちが預けられる昼間でもいいのだが、雅は日中仕事をしてることが多いから、どうしても夜になってしまうが、動物の本能なのか、夜にその気になることが多い気がするが、βは年がら年中発情できるわけだから、どの動物よりも繁殖力が強い生き物かもしれない。 「……ねぇ、1回で終われないんだけど、そのまましてもいい?」 雅は蕩けた眸で、微笑みながら樹の両頬に手を添えてキスをした。

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