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第139話

――――オレはいくつだよ…… 本気で盛ってると思う。最後の飛沫を受けて雅が短い喘ぎを漏らしてそのままふっと意識を手放した。アフターピルは口移しで飲ませた。 Ωにとってもピルだ、抑制剤だ、アフターピルだ、と飲んでいて、躰に負担はないのだろうか?‪α‬はΩを発情させるためにわざとフェロモンを出すことはあっても、発情期がある訳ではない。‪ ――‪α‬の方が頑丈にできてるはずなのにな…… 雅のような薬の飲み方で、Ωの躰の負担にならないのだろうか?いくら特異体質でも、本来の本能を抑制する薬が躰にいいわけがない。 けれど、下手にフェロモンを振りまいてポンポン子供が産まれる訳ではない。 たくさんの子供を産ませて育てる経済力を持つ‪α‬がΩを飼うのは珍しいことではない。 樹でもあと数人産ませたとしても育てるだけの経済力はあるが、番の雅は本来の性が男だという部分もあり、ポンポン産めるわけでも妊娠に危険がない訳でもない。 人伝てに聞いただけだが、マサミさんは確かにそう言った。アフターピルを枕元に置いている雅も自覚があるからそうしているのだろう。 精液を注がないと発情期の熱で苦しむことになるというのに、非情な性だと思う。‪α‬は確実に妊娠させるように精を吐き出すというのに。 ‪フェロモンに流されない為の抑制剤は‪α‬にもあるが、Ωのように常用するものではない。お互いに不本意な番にならない為のものだ。 樹もそれは避けてきたことだし、いつも常備はしている。この先も現場で事故が起きないようにはするつもりだし、不用意に誰でもいい、という訳ではない。 雅が誰にも手付かずだったこと自体奇跡に近い。母親が懸命に守ってくれた成果だと思う。抑制剤を飲んでいても、実の兄には執拗に狙われていたというのだから、可哀想な思いをしてきているはずだ。 隔世遺伝のΩは珍しいことではないし、‪α‬とΩが番になれば‪α‬を産む確率が上がる。稀にΩが遺伝することもあるらしいが、産んだ人数が増えれば、均衡をとるために産まれてしまうのだろう。樹の兄弟は全員‪α‬だが、母親はΩだ。 父親は女Ωが好きらしく、後妻の再婚相手も女Ωだった。年齢もそれなりで、それから子供を産んで育てるといった年齢ではない相手ではあったが、その人もたぶんまっさらではなかったが、番になった相手はいなかったのだろう。 幼い時に性被害にあうと‪α‬が怖くなって男性恐怖症のようになり踏み出せなくなるΩもいる。 きっとそれまでに誰かと結婚していたとしても、βを選んでいたかもしれないし、子供がいなかったことからしても、子供を作る気はなかったのかもしれない。 Ωに多い、少し権力のある家庭の誰かと望まない妊娠をして、相手方に取り上げられてしまった、などはよくある話だ。襲われたからと言って必ず番になるわけではない。 βと一緒になっても、発情期に相手はしてもらえても、‪α‬とΩほどの濃厚なものにはならないだろう。その逆も然りで、雅の母もβだが、発情時のノットで長い射精の間にΩのように感じることはなく、ただ自分の上に乗られた状態で、終わりを待つだけで、盛り上がってた気分も落ち着いてしまっている。 白石のところも少なからずそれはあるだろう。‪α‬のフェロモンはβには効果がない。だからこそ、白石が今のパートナーを手に入れるのに時間がかかってしまった理由でもあるだろう。 βと言えば、ふと、雅の母親との会話を思い出す……

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