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第150話
「OL女性の方のスチール、終わったよ。スムーズに終わったわ。さすがプロとしか言いようがない。魅せ方わかってるわ〜」
大山がCMとスチールを完了させて、今日の女性モデルさんの仕事は完了したようだ。また、普通の女性フォーマル、カジュアルと女性サイドも残っている。
ティーン系の撮影は学校のない週末に行われるから、子供たちと一緒になる。女の子はデザイン、色、それぞれカラフルだ。
男性側も樹メインで撮影されていく予定だ。
「これからCM撮りでしょ?お迎え行ってきちゃおうか?玉妃もいるし、嶺岸さんがいるからあたしが離れても心配ないし」
「すみません、お願いします……」
「……連れてくるのはいいけど、大丈夫なのか?3歳児組が妨害しなきゃいいけどな……」
「まぁ、大人の撮影を見学するのも勉強になると思いますから、大丈夫じゃないですか?」
動画どころか、スチールの修正でのポージングでもあたふたしてる状態だ。雅が小走りに行き詳細を説明する。下手なスタッフよりも説明が上手く通る。スチールが終わる頃、子供達を連れた大山が戻ってくる。
浬と夢妃は小学校の制服、3歳組は普段着のままだ。まだ、川嶋はスチールの撮影中で雅が見つめる中、目線が賑やかな子供たちの方へ向いてしまい、雅は微笑んだまま
「川嶋さーん、よそ見してる余裕ないですよ〜」
子供たちの方には目を向けず撮影を見ている。ただでさえ、スケジュールが押している。役者側は余裕を持っているが、企画側にはそんな余裕はないのが現状だ。ポージングのラフ画を見ていないのだろうか?と思ってしまうほど、マネージャーの葉瀬に問いかけてしまう。
彼いわく、かなり念入りに見ていた、と言うがスムーズに進んだと思われる2人用のポージングはほぼ完璧に撮れていたようなので、そちらを中心に覚えたとしか思えなかった。プロとしてどちらもこなせないようであれば素人と変わらない。ラフ画を見せながらの説明は数が少なければ良いが、今回は大型企画なので、モタモタしてるのは正直、雅たちの仕事も押してしまうので避けて欲しいのが本音だ。
ポージングの間でも子供たちに気が向いてしまっている川嶋を意識しまってリテイクを繰り返していると、子供たちが傍に来る。
「あのさぁ、やる気ないならもう辞めた方が良いんじゃない?時間の無駄だと思うんだけど?」
歯に衣着せぬ口調で浬が言うと、少しむきになったようでラフ画を再チェックして撮影に挑む。それでも細かい部分の見落としがあったりして、浬はため息をつきながら、
「この方、あと何枚リテイクなんですか?」
とカメラマンに問いかけると、あと数枚と返ってくる。カメラマンに数センチズレてもらって撮影をしてもらう。浬の指示通りの角度から撮ると、見れる写真にはなってきた。
ポージングの確認と、カメラの位置の指示で、その場は驚く程にスムーズに動いたのだ。
「KAITOくん、初めまして、僕は……」
「貴方、モデル向いてないと思います。これだけの撮影に何時間かけてるんです?スタッフも企画サイドも暇じゃないんです。あなた一人に裂ける時間だって本来は限られているんですよ?どれだけ甘ったれなんですか?子供服サイドの3歳児だってここまで手間はかけませんよ?」
「ちょ……言い過ぎじゃない?」
雅が口を挟むと、今度は矛先が雅に向いた
「雅さんが1番忙しいでしょ。なんでこんなのの撮影に付き合ってるの?新人なのはいいとしても、プロ意識の低さは怠慢でしかないでしょ?
どれだけの人が1人のために時間を割いてくれてるのかわかってないタイプだよね?子役に気を取られて雅さんに注意されるとか何様なの?ぼくらの時間まで使われるのは非常に不愉快。」
浬は容赦なく言い放つ。玉妃は爆笑している。
「な?だから会うのは早いって言ったじゃないか。まさか雅くんまで巻き添いで怒られるとは予想の斜め上すぎて笑えるわ。」
「ちょっと、なんてこと言うのよ。ごめんね、杉本、玉妃が……んもぅ!!」
その大山の言葉に今度は樹が笑っている。
「あなたも同罪だから。嶺岸樹さん。」
「言うようになったな、コピー」
「以前から言おうと思ってたけど、その呼び方もめちゃくちゃ不愉快!!なんで昶は名前でぼくはコピーって呼ぶの?」
「だって、おまえ小さい頃のオレそのものだから仕方ないだろ。そっくりなんてもんじゃねぇぞ?マサミさん、オレの小さい頃の資料どっかにあったよな?」
「えぇ、母が保管してると思うわ?……っていうか、ここで親子喧嘩はやめてちょうだい。」
「……本当ですよ……」
雅が一番疲れた顔をしていた。
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