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第153話

脱衣所で樹が支度を始めると同時に雅が扉を開いた。が、そのまま閉めてしまった。 「何してるんだ?」 「……いえ、あの……僕の方が先だと思ってたので……お先にどうぞ……」 「一緒に入るのに、先も後もないだろ。一緒に脱げばいい。今更照れることか?」 「……そうかもしれないんですけど……」 煮え切らない雅を強引に脱衣所へ引き込む。胸の中に倒れてきた雅を抱きしめる。手の中の部屋着を着替えを入れるカゴに入れるとそのまま服に手をかける。 「じっ、自分で脱げます!!」 「オレが脱がしたいの。照れちゃってそのままじゃオレが出るまで入って来なさそうだから」 何故、この人は何年も肌を重ねているのにこれほどまでにウブなのだろうか?学校行事などでも集団で風呂に入ることだってあっただろう。 男、という部分では変わらないはずなのに、妙な気遣いをする。雅を脱がし、樹も一気に服を脱ぎ捨てるとそのまま風呂場へ引き込む。 シャワーを出して温度の確認を先にとるのは雅らしいが、適温になった頃椅子に樹を座らせて肩からシャワーをかける。 「頭濡らしますね。」 セットでバリバリになった髪の毛にお湯がかかる。美容師か介護士のようだな、と笑いそうになる。一通り濡らすとシャンプーで泡を立てようと頭皮をマッサージするように雅の指先がわしゃわしゃと動く。 ――気持ちいいもんだな ヘアメイクで散々触られてきた頭だし、カットのついでにシャンプーもしてもらうが、プロにしてもらうのとは違う気持ちよさがあった。 「1回じゃ落とし切れそうにないですね、1度流しますね」 シャワーをかけてまた新たにシャンプーを始める。雅が後ろにいるから、雅は今のところ恥ずかしい、という気持ちが薄れているようだ。 痒いところはないか?洗い忘れはないか?と確認しながらシャンプーを流していく。普段は使わない雅が使っているだろうトリートメントをされて、少し時間を置くという。その間に体を洗う、となって背中側は良かったが…… 「前は自分で洗ってください」 とタオルを渡された。 「子供たちみたいに洗ってくれないの?」 「大きさがだいぶ違うんですけど……」 「なんの?」 「身長ですからね?」 照れながら言うところが可愛らしいと思ってしまう。丁寧に躰を洗っていくけれど…… ペニスを目の前にした時には明らかに戸惑いを見せた。 「さすがにここはご自分でした方が洗いやすくないですか?」 脚を開いて「雅が子供たちにしてるみたいにやってみて?」と言ってみる。 ボディーソープを手に取り泡立ててからペニスを包むように洗い陰嚢周り、尻の穴付近を丁寧に洗っていってシャワーをかけられる。 陰茎の洗い方に勃たなかった自分を褒めてやりたい。他人の手で洗われるのは気恥しさと気持ち良さが確かにある。 トリートメントも洗い流せば、一通り終わって雅の番だ。逆に椅子に座らせて同じように頭にシャワーをかけると 「湯冷めしちゃいますからお先に上がってください。自分でできますから」 「一緒に入って散々やってもらったのに、オレがやらない訳にはいかないだろ?」 シャンプーを手に取って頭皮を揉むように洗うと雅の抵抗もなりを潜めた。 「……気持ちいい……」 「だろ?今まで色んな人に頭触られてきたけど、雅のシャンプーが一番気持ち良かったよ。美容師よりもヘアメイクよりも。」 「僕を褒めても何も出ませんよ?」 そう言いながらも気持ちよさそうな声で力が抜けていく。変な緊張感は取れたようだ。シャンプーを洗い流してからはトリートメントの量を聞いて髪に馴染ませていく。 躰を洗うとなるとまた変な遠慮が顔を覗かせる。背中を洗うまでは良かったが前に回ると 「自分でやります!!」 とタオルを取ろうとするからその手を下げさせるとそのまま洗って雅がやってくれたように陰部を手で洗い軽く扱き臀の方も撫でるように、軽く引っ掻くように洗ってると雅にしがみつかれる。軽く息が上がっている。洗い流す頃には半勃ちになった状態でスイッチが入ってしまったようだ。発情してる訳ではないが、そのまま深く口付ければそれに反応して互いに勃ち上がっていく。互いを合わせて擦り合わせると 「……ぁん、あっ、ぅん……」 艶のある声が上がる。 「……発情してないけど……シてもいい?」 こくり、と頷き風呂から上がったあと、ドライヤーもそっちのけでタオルで水分を吸収させただけの状態で寝室にもつれ込んだ。

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