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第154話

発情してない時はもちろん濡れない。 キスからもつれ込んだベッドの上で交互にお互いの肌に舌を這わせて気持ちを高めていく。 上になったり下になったり普段なら一方的に愛撫を受け入れてる雅も自分の気持ちいところを教えるような愛撫をしてくる。もちろん樹も気持ちいいのだが、これまでもこんなことをしていたのか?という気持ちになる。 雅も男性的な部分で相手が感じることに性的興奮を覚えるのだろうか?お互いに快感で息が上がる。段々と下がっていく口唇の位置から樹は下になったタイミングで雅を跨がさせた。先に舌を伸ばしたのは樹の方で雅は小さく喘ぐ。 雅も負けじと下を伸ばす。先端を舐めていた舌が徐々に裏筋を舐めてまた逆に戻ってきたと思うと口にゆっくり含んで舐める。弱い所を知られてるから上手にそこを刺激しながら愛しそうに舐める姿と感覚に深い快感がある。 樹もペニスを舐めて咥えて、愛撫をするけれど舌はそのまま会陰を擽りながら慎ましやかにそこにいる後孔に舌を這わせる。ビクッと躰が跳ねるが、ちょうどいい高さに腰を落とすように両手で固定して唾液を多く使いながら固く閉じたそこを解していく。 ゆっくりと舌をねじ込みながら唾液をそこに注いでいく。発情期の時にはぐっしょりと濡れて柔らかくαを迎え入れる場所とは思えないほどだ。舌がある程度届く範囲まではぐっしょりと濡らしたがそれより奥は指でないと無理だ。たっぷりと濡らした指を入れると短く喘ぎ背を反らしながら雅は指を飲み込んでいく。 慣れた指は雅の前立腺を刺激しやてるとその場所は思い出したかのように柔らかく解けていく。ローションが欲しいところだが、用意はしていない。そんなことに気づいたのか雅が 「……1度指を抜いて貰ってもいいですか?」 と言うのでその指を抜くとサイドテーブルに着いた引き出しを開けてひとつのボトルを取りだした。白濁色をしたそれを樹自身に塗り出した。樹もそれを見たい、と告げると雅は恥ずかしそうにしながら、ボトルを渡してきたのでそれを受け取ると、アナル用のローションで、精液をイメージして作られたものらしい。それを樹も奥に塗り込んでいく。 まだ出してもいないのにすでに1度出したようないやらしい目の前の情景に早く入れたい、という気持ちになってきた。 雅を四つん這いにしてゆっくりと後孔へ侵入させた。たっぷり濡らされた自身と後孔はスムーズに樹を飲み込んでいくけれど、発情してない後孔は少しきつい。雅も辛いはずだ。負担をかけすぎないようにゆっくりと腰を進める。 いつものセックスとは違う。本当の意味で男同士のセックスだ。それでも雅の中はヒクヒクとしながらまとわりついてくる。時折漏らす息や声で雅も感じてくれていることを確認できた。 「やっ……深い……」 先っぽが何かに当たる感触が気持ちよくてそこを擦ると雅が高い声を上げる。 「……やっ……そこ……」 痛みと快感が混じった声で喘ぐ姿を見てあと少し残った部分をグイッと押し込んだ。 「やぁぁぁぁぁ!!」 イった時のように、中が急激にうねり出すが雅が吐き出してる気配はない。背中に口唇を落とすとビクッ、ビクッと躰が跳ねる。イった時と同じような反応を示した。腰を揺するとやはり先端が気持ちいい。 「ここ、気持ちいいよ……雅は……?」 「…あ……あっ……つら……けど……いぃ……」 発情期にしてるセックスとは違う感覚だと思う。ゆっくりと動き出すとシーツをきつく握りしめながら悶えている。 「声……我慢しないで……?」 「……うぅ……ん……」 樹側としても発情期に抱いた時と、今の感覚では内壁の感じが違うように思う。発情期の時には突き当たりを突破するような感覚はなかったが、その先があること、そこに先端を擦り付けるとすごく気持ちがいいこと。 子供を作る時とは違う感覚だ。雅も少し痛そうな声でその場所から樹を吐き出そうとするとグポッという感覚と共にその場所を出入りする。抜ける時が気持ちいいようだが、入れる時は少し辛いようだ。最初に入れた場所の奥にもうひとつ出入口があるような感覚だ。 発情してようと、していないとしても男を抱けるのは雅だけだ。同じものがついてる他の男を抱くことなど想像できないし、だからといって女を抱く、ということも想像がつかなかった。

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