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第158話

「……すみません。お任せさせてしまって……」 ベッドルームに行くとまだ気だるげにしている雅が謝ってくる。子供たちを送り届けて戻ってきたところだ。申し訳なさそうにしてる雅に 「オレも親なんだから当然だろ?浬がほぼほぼ動いてくれたから、オレは運転手をしただけだったよ。体調はどうだ?」 まだベッドに横たわったままの雅に 「体調的には悪くないんですけど、腰が抜けてるような状態ですね……」 苦笑いをする。発情期以外のセックスは初めてだったのもあり、起き上がるのも難しいような状態になっていた。雅も予想外だった。 「そろそろ撮影に行かないと……」 「その状態で置いていけるわけないだろ。連絡は済んでる。何か必要なものがあれば持ってくるし、移動が必要なら抱えていくけど?」 あの雅が子供のことが出来なくなるほど抱き潰したのは自分だ。白石には 『へぇ、珍しいこともあるもんだねぇ。発情期でもないのにするなんて。普通のアナルセックスしたわけだ。で、メスイキさせすぎて腰が立たないと。あんた、そんな絶倫なわけ?ってか、雅くんが不慣れなだけかな。 あ〜、どっちもか。大丈夫だよ、今日はじっくり尽くしてやんな。いつも頑張りすぎてるから、たまには雅くんを休ませてやりなよ?』 そう話す白石は楽しそうに笑った。どこまで本気なのかわからないのがあの社長だ。 「……本当は昨日、辛かったんじゃないのか?無理してたんじゃないか?お腹は痛くない?」 「……少し……痛いかな、程度です。いつもとちょっと違う感覚でしたね。」 「オレも。なんか行き止まりを見つけた感じ?んで、その先があった。その先に入ろうとすると先っぽがすげぇ擦れんの。そこだけいつも締め付けてくる場所とは違う感じ?」 雅は顔を赤くさせながら 「……そんなに締め付けてますか……?」 ベッドサイドに腰かけて雅の耳元でフッと笑ってから低く淫靡な声で 「……締め付けてくるよ?子種を搾り取ろうとするようにね……たまに持っていかれそうになるよ……すげぇ気持ちいいの。雅も気持ち良い?」 上掛けに顔を埋めて恥ずかしそうにしてしまう。からかっている訳ではないけれど、なんでこんなにウブな反応をするのか。 「……気持ち……いい……です……」 記憶がなくても、躰が抱き方を覚えてた。けれど昨日は初めてのパターンだったと思う。雅が肌にキスをするという感覚が珍しい、と感じていたのは事実だ。雅が持っていたローションも発情期に樹が相手を出来なかった時の疼きを誤魔化すためのものだろう。 抑制剤が効いていたとしても夜になればその時に慣れた躰は刺激を求めたのかもしれない。 男同士のセックスとなると、いつも以上に濃厚なものになる、というのを知った。発情期の時は濡れているし、すでに柔らかくなっているから前戯などなくても挿入は出来るし、Ωもそういう躰だからこそ、フェロモンが出てしまうとαもβも関係なしに強烈に誘惑してしまう。セックスをしながらうなじを噛むのはαだけだが、それで『番』が成立してしまう。 その時のαは本能のみで理性が無くなっていることが大半だ。ここで妊娠してしまうΩは多く、産んだ子供は大概はα側に引き取られてしまう。そこから婚姻に繋がることはほとんどない。番を解除されてしまう場合が多い。 抑制剤やピルを飲みながらも、発情期が来れば精液を欲する発作が出てしまうから、病院で注入してアフターピルを飲む。その精子も検査に合格したαやβのもので、病院では随時協力者を求めているが、それをお小遣い稼ぎに使う人も少なくない。ただ、病気持ちでない、薬を常用してない、健康な精液限定だ。 そして大人になるまでに誰かと番えないと、身売りするようになる。子供保険がきかないと精液の注入も高額になってしまうからだ。そういったΩはそれを目立たさせる為にわざとチョーカーをつける。通常のΩであれば番が出来ればチョーカーの必要性がなくなる。番にしか匂いが伝わらないからだ。金持ちに嫁げたΩの中にはオシャレでつける人もいるようだが、運命の番に憧れている、という人もいるようだ。 ただ、雅がつけていることは意味が違う。 番っていてもフェロモンが流れ出てしまうから、お互いに注意が必要だ、という注意喚起を意味していた。家でも外さないのは2つの理由があると考えられた。

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