11 / 47
1 : 8 *
毎月訪れるカオリの命日に、オキジョーは毎回悲しそうな顔をした。
それはカオリを亡くした中学生から、大人になった今でもずっとだ。
オレは命日がくると毎回、オキジョーを抱き締めた。あの時みたいに、少しでも元気になってほしいかったからだ。
そして、高校生になったある日。薄々感じていた問題を、オレは直視してみた。
──抱き締めたところで、オキジョーの心は晴れないのではないか。……と。
だからオレは、オレなりに色々考えた。『どうしたらオキジョーをもっと元気にしてやれるか』ってな。
考えた末に思い付いた答えのバカさ加減ったら、笑っちまうぜ?
──男なんて、セックスしてる間は余計なことを考えないだろう。……それが、オレの出した答えだ。
そしてその答えはきっとまた、誤答だったのだろう。何度も何度もバカなことを繰り返しているオレは、さすがに学習をした。
しかし、発言を撤回しない。……だからこそオレは、未だにバカなままなのだ。
「メイ……っ」
オキジョーの目に、オレが映った。……気がする。
晩飯の鍋を作るよりも先に寝室へ向かったオレたちは、裸になって互いの体温を感じていた。
「は、あ……ッ、オキ、ジョ……ッ」
ダッサイくらい情けない声を漏らすと、オキジョーがオレの手を握る。その手は少しだけ、汗ばんでいた。
「メイ……痛い、ですか?」
長ったらしく指でほぐされたとは言え、男のケツなんかにオキジョーのデカいブツを突っ込まれるなんてのは軽い拷問だ。
けど、月に一回はセックスしてるわけだし。……ただ痛いってわけじゃ、ない。
「へ、いき……ッ」
「やせ我慢はしないでください。……一度、抜きましょうか?」
「ッゼ……続けろ、ダボ……ッ」
命日に、カオリのことを一瞬でも忘れるための儀式だ。そこに優しさなんて必要ないし、ましてやオレの体を気遣う必要もない。
だけどオキジョーは、毎回優しく抱いてくる。
「メイ……」
オレの手を握る力が増す。それがなんだか、くすぐったい。
バカヤロウが。オレはオキジョーの恋人じゃねぇんだぞ。ウザってぇから、優しくすんなよ。
……毎度、そう思うくせに。たった一度も口にできていない言葉を、胸の中で吐き捨てる。
「動けよ、オキジョー……ッ」
握られた手に力を籠めた。
それを合図に、オキジョーがゆっくりと腰を引く。
「く、っ。……はッ、あ……ッ」
ズルズルとブツを引き抜かれると、圧迫感が薄れて脱力する。
ケツの内側を擦られる感覚は何度受けても慣れないけど、特段嫌いじゃない。慣れと言うものは、なんとも恐ろしいものだ。
引き抜きかけたブツを、今度は挿れるために。オキジョーはゆっくりと、腰を落としていく。
「ひっ、ぃ……あッ」
「メイ。背中に、手を回してください」
「あ、あぁ……んッ」
繋がれた手を引っ張られ、オキジョーの背に回すように添えさせられた。それは逆の手も然りだ。
立派に成長したオキジョーの背中は、広い。怖いことをされているわけじゃないのに……しがみつくと、妙に安心してしまうほどだ。
「ふっ、ん……あ、あッ」
ゆっくりとブツが抜かれ、またゆっくりと挿れられる。オレを気遣うようにノロかったブツの抜き差しが、次第に速度を上げていった。
ともだちにシェアしよう!