4 / 10

第4話

永遠side 目が覚めたら、知らない部屋。とても広くて、近くには一つ、ピアノがあった…。ベットおっきい…、服、僕のじゃ無い……。ここどこ…。部屋が広すぎて怖い…。ぎゅっと掛け布団を握り締めると引っ張られる感覚…。 僕の隣には昨日の可愛い顔をした儚い雰囲気の子が眠っていた…。見つめていたらパチッと目を開けるからビクッとする… 「起きた?おはよ」 「お、はよ……ございます…」 「…気分はどう?首、痛く無い?」 「く、び……?」 「…?…気づいてないの?首輪つけさせてもらったよ。僕のペットなんだからいいよね。その首輪、盗聴機とGPS。動脈も測ってるから。勝手に死のうとしない事」 「…はぃ……」 僕はとんでもない人と契約してしまったかもしれない…。施設に連絡したら養子として引き取れる手続きも済んでた。この子の弟になってて……。 中学も彼と同じところに編入の手続きがもう済んでいた…。有名な学校で、音楽家の卵達がいっぱいいる…。中高一貫校だった。 「僕、何も、出来ない…」 「僕が教えるから大丈夫だよ。僕の名前、知ってるよね?そこそこ有名なんだけど…」 「……ご、めん…なさぃ……。分からない…」 「僕は三日月 由良。よろしくね」 「えーっと、水原、永遠…です。…よろしくおねがいします…」 三日月由良さん…。聞いたことがある。すごいピアニスト…。テレビにも何度も出ているし、賞も沢山とっている。 まさか本人に会えるなんて…。一度だけ彼の弾くピアノの音を聞いた。優しくて、寂しい音がしていて、凄く心地よかった…。もう一度聞いてみたいと思っていたけど、機会がなくて諦めていてのに……。 「…ピアノ、聞きたい……です…」 「やっと僕が分かった?いいよ。聞かせてあげる」 「…ありがと、ございます」 あの時と同じように優しくて少し悲しい音…。心の奥まで入り込んで浸透していく…。綺麗だなぁ…。澄み渡ってて、ほっとする音色。彼の儚い表情も合わさって、とても美しい……。 「…綺麗」 「ありがと。弾いてみる?」 「僕が触っていいの…ですか?」 「いいよ。おいで」 「…」 緊張しながら音を鳴らす…。ピアノが綺麗な音を鳴らす…。意外と鍵盤が重たい。 ポロン…ポロン…… 何音か鳴らすと、だんだん音が分かってきて、拙いリズムではあるが、三日月さんの弾いていた曲を弾いてみた。すると、三日月さんは驚いた表情をしたが、途中から楽しそうに笑っていた…。 「…耳がいいんだね」 「………えーっと…」 「僕が弾き方教えてあげる。一緒にがんばろ?」 「はぃ…」 それから弾き方を丁寧に教えてくれた。気づくと三時間も経っていて、びっくりした。三日月さんほどでは無いけど、そこそこ弾けるようになって楽しかった。

ともだちにシェアしよう!