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第5話

由良side ピアノは好きじゃない…。音楽一家だからと、習わされてきたが、教えてくれる人はいつも才能があって羨ましいというばかり…。僕の努力を褒めてはくれず、家族からは、もっと上手くなれ、賞を取れと言われた。 中学二年の頃に出会った人。彼は画家の家に生まれ昔から絵を描かされていたらしい…。本当は、絵ではなく彫刻がやりたかったみたいで、親に言ったらしい。酷く悲しそうな顔をしながら認めてくれたと…。 「蒼葉さん、僕…。絵が描きたい…」 「彩葉って呼んでください。私も久しぶりに絵を描いてみようかと思っていたので、一緒にやりますか?」 「僕、何も持ってない…です……」 僕も一度親に言ったが、反対され諦めた。家を出てけと三日月の名を名乗るも許されなかったし…、一人では生きていけないからだ…。 「私が出資してあげよう」 「…えーっと、条件は」 「無いですよ。ただ気が向いた時にでも、抱かれてくれれば…」 「……ありがと…ございます…。絵の描き方教えてくれますか」 「うん。もちろん行きましょうか。画材、買わないといけないので…。君専用の画材ですよ」 「ありがとうございます」 性的なことを強要される事もなく、なんの才能もない僕に出資してくれた。怪しいとは思ったけど、やりたいことをやらせてくれて、求めれば快楽すらも欲しいだけ欲しい時にくれた…。 居心地が良くて抜けられなくなって、時々会っていた。もちろん親には秘密。バレないように上手くやっていた。あの人、あの子と出会うまでは…。 ただ視線が一瞬交わっただけの相手…… 一目惚れ……だった…

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