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第6話

由良side 視線が交わった…。少し前の僕のように死んだ目をした彼。彩葉さんも気になったみたいで、二人で跡をつけると死のうとしていた…。だから僕が両親に頼んで養子にした。 両親は、養子にするのを嫌がったが、養子にしてくれないなら家を出て彩葉さんのところに行くと脅した。家の中でも僕は優秀な方だったから、手放したくなかったのだろう…。養子の件を飲んでくれた。彩葉さんとの交流も、嫌そうにしながら認めてくれた。 「…良かった」 「ドキドキしましたよ…。でも、良かったです。由良くんといるのは楽しいですから…。友達だと、勝手に思っているので…」 「僕もです…」 歳は離れているけど、大切な友人…。彩葉さんとのいる時が一番楽しい。同じような境遇で育ち、同じような経験をしたからだろうか…。何処か懐かしく感じる…。 拾ってきた子の手当てをした。結構深く切れていて、どれほど辛かったのだろうと思う。お風呂に入れようと服を脱がすと、身体中にキスマークがついていた…。抵抗した時にでも殴られたか、青痣も、治りかけのものから、今さっき出来た新しいものまであった…。 「…痛々しい。…なんでこんな」 「彩葉さん…。この子、立ち直れるかな…」 「……。…死なないよう見守ってあげましょ」 「…うん」 深く切れた傷痕には躊躇いがなかった。切ることも、死ぬ事も怖くなかったのだろう…。僕とは真逆だ…。僕は、否定される事と死ぬ事が怖くて時々発狂しそうになる。軽いパニック障害なんじゃ無いかと、思うくらいだ。 「これ、性能がいいので、良かったら使ってください。私が昔つけられたものです…。私には狂った恋人がいたのです…。もう会えませんが…」 「…これ……」 彩葉さんから渡されたのは首輪…。盗聴に、GPS、動脈を測る機能までついている。これをつけておけば勝手に死ねないし、居場所も常にわかる…。シンプルで服で隠しやすいような作り…。 「…彼は、私と無理心中をしようとしました。運が良く助かりましたが、彼は…助かりませんでした……。それでも、彼を嫌いになれないのです…。前に一度聞きましたね。何故恋人を作らないのかと…、今でもまだ忘れられない人が私の心にいるのですよ……」 「……彩葉さん…。あの……」 「何も言わなくていいですよ。寂しくはありません。私が覚えている限り彼は私の中で生き続けます」 「…」 僕はにも言えなかった。彩葉さんには、自殺しようとした彼が、恋人と被って見えたのだろう…。だから、死なないようにこの首輪を僕にくれたんだ…。彼がちゃんとした感情を持てるまでは、これをつけて見ててあげよ…。彼には死んで欲しく無い…。 「今日は遅いから、早く寝てくださいね。私はこれで失礼しますね」 「ありがとうございました…」 「彼の事で何かあったらすぐ連絡くださいね」 「ありがとうございます」 彩葉さんが帰ったあと、疲れていたから僕もすぐに眠った。知らない子と一緒に寝るのは少し不安だったけど、安眠できた…。不眠症気味でなかなか眠れず、また眠りが浅く夜何度も起きてしまってたのに…。 朝、彼によって起こされた…。少し話後、ピアノを弾かせてみたら、何もしてないのに弾いて……。彼も、彩葉さんみたいに天才と呼ばれる人種だ…。

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