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いつも教室でぽつんと一人で過ごすクラスメイトが気になっていた。
中学に入学して間もないが、元々明るい性格の藍季はすぐに友達ができた。バレー部も楽しかったし、理想の中学生活のスタートを切れた。
そんな藍季とは反対に、彼は引っ込み思案らしくなかなか友達ができないらしい。いつもぼんやりと窓の外を眺めている。
そんな彼を、なんとなく放っておけなかった。
「なあ」
放課後、のそのそと教科書を鞄に仕舞う彼に声を掛けた。出席確認の時に担任教師から呼ばれていた名前を記憶から呼び起こす。
「えっと、佐山だっけ?」
「……うん」
彼──佐山はこくりと頷いた。警戒心たっぷりの視線を藍季に向ける。コイツ、人見知りなんだなあと気付く。
「お前、バレー部入んない?」
佐山はぱちぱちとまばたきをした。こてん、と首を傾ける。
「……なんで?俺、別に背高くないし、バレーやったことないよ」
「んなの関係ねーよ。俺もまだチビだし。ま、これから伸びる予定だけど!」
ますます佐山は不思議そうな顔をした。佐山にニッ、と笑いかける。
「俺も先輩に誘われたんだけどさ、バレー超楽しいよ!」
「…………」
「一緒にやろうぜ」
困惑した表情の佐山の手を取り、握る。
「まず見学からでいいからさ。とりあえず見に来いよ」
これが、佐山と初めて交わした会話だった。
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