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11.バツなし三十路男、モテ期晩成?『草食系男子』に狙われる?【喰うか喰われるか?編】

隠れてキスすることも、手を繋ぐことも許してくれなかった澪央くん。彼は草食系なのか? その行動の変化をお楽しみください。 ………………………………………………………………………………………………………………  れおくんのれおくんがっ……!?  尻に当たる男のあれが気になって、オレはそわそわした。どうしようどうしよう、どうしたらいいのオレ? 捕らえられた姫――否、捕獲された(テディ)状態なんだが……このままだと掘られて『女』にされてしまうぞオレ! どうしようどうしようどうしようどうしようぉおお~!?  澪央くんの膝の上でオレがもがいていると 「露句郎さん露句郎さん!」  澪央くんが声を荒げた。 「ん?」  動きを止めて振り向くと澪央くんが半笑いで言った。 「そんなに暴れられると、“でかくなっちゃいます”」 「あ……」とオレも半笑い。暴れる度オレが尻で澪央くんの“れおくん”を刺激してしまっていたらしい。やっちまいましたな……てへ。 「露句郎さん」  手に触れながら、オレの耳元で囁く澪央くん。声がエロい。 「何?」 「エロいこと……」 「え」 「する?」 「!?」  捕らわれのテディ(オレ)は、ビクッとした。あ、ちょっと待って……  抵抗する暇もない。澪央くんの腕に押され、ゆるやかにオレの体が横に倒されていく。澪央くんの筋肉質な腕に挟まれるテディ、否オレ。オレを見下ろす澪央くんの目は鋭くぎらつき、獲物を捕らえた肉食動物のようだ。全然草食系じゃね~~っっ!? めっちゃ肉食やん、めっちゃただの雄やないかああ~~い!??  ずるずるとスラックスを脱がされる。オーマイガー! 勝負パンツ穿いてこなかった~(持ってないけど)、今日は数年愛用している水玉のトランクスだった。青いミ●ーちゃん。 「澪央くん待って!」  すかさず叫ぶと、澪央くんの動きが停止した。苦し紛れにオレは言う。 「今日オレ、生理なの」 「は?」 「ごめんなさい、それは嘘です」 「……」  やべ、めっちゃしらけてる。薄いリアクションに凍えるオレのハート。カイロ~、じゃない、海理助けてけろ~! この間やだ。放送事故みたいになってるし……   澪央くんがオレの上から退いて、テーブルに向かう。その上に置いてあった飲みかけの缶コーヒーを飲み干した。良い飲みっぷりに惚れ惚れする。澪央くんが野生の豹かライオンに見えてきた。 「あのさあ、澪央くん」  嫌な間を破るべくオレは切り出した。澪央くんが振り向く。 「はい」  「一つ確認しておきたいことがあるんだけど」 「なんですか?」 「澪央くんてどっち?」 「どっちって?」 「その、エッチするときやるほうか、やられるほうか……」 「男役か女役かってことですか?」 「うんうん、そういうことそういうこと」  オレはこくこく頷いた。 「露句郎さんはどっちがいいですか?」  そんなことは決まっていたが、オレはちょっと恥ずかしがってもじもじして言った。 「男役……」 「そうですか」 「澪央くんは?」 「じゃ、オレは女役で」  澪央くんは凛々しい目で答えた。 潔い! 男前だよ、れおくん! 「澪央くん~!」  オレはムラムラして澪央くんに飛びついた。 「ッ?」  が、澪央くんに鋭く見据えられてびびる。その眼コワイ……  怯えるオレの手を掴み、向き合って澪央くんは言った。 「露句郎さん、急に襲いかかるのはやめてください」 「え?」 「反応してつい技かけちゃう可能性があるんで」 「技って……どういうこと?」  不吉な予感が過って焦るオレ。 「てかその前にオレのこと彼氏として認識してないのかい?」  うん、これ大事。澪央くんはスルーした。 「オレ、柔道やってたんで」とニヤリ。 「マジすか……?」 「もしかしてだから筋肉質なの?」 「ああこれですか? これは違います。筋トレです。柔道は中学でやめました」 「そうなんだ。じゃあ、寝技とか使えるの?」  言うと澪央くんの顔が曇った。 「使えますけど、寝技はトラウマがあるんで……」 「トラウマって、何かあったの?」 「部活でいつも寝技かけてくる先輩がいて」 「そうなんだ」 「毎日その先輩に抑え込まれて口押し付けられたり、耳舐められたりするのが気持ち悪くて、だんだん柔道すること自体が嫌になってやめました」 「マジで?……」  またすごいことを聞いてしまい驚愕するオレ。なななんですって?? それほんとに中学の時の話?? 過激な内容すぎて付いていけないんだが…… 「えっとじゃあ、ハグしたい時はどうすればいい? 襲うよ~とか言えばいい? なんか変だけど」  すると澪央くんは、破顔して首を振った。 「名前とか呼んでくれたらわかりやすいです」 「名前ね、よしわかった」  試しにオレは呼んでみる。 「澪央くん」 「なんですか?」 「澪央くん……澪央くん……」  声が熱っぽくなる。こうやって向き合ってじっくり顔を見てみると、澪央くんてやっぱ綺麗な子だなと思う。一見細くて華奢に見えるけど、脱いだら(スーツを)結構逞しくて、でもやっぱ襲われやすいというか、か弱い所もあるというか、なんか守ってあげたくなるタイプかも。はあ、愛おしい……好きぃ。 「澪央くん澪央くん……」 「一回で大丈夫ですよ」 「言いたいの」  と甘えるオレ。今度はオレが襲う番だ。「いこ?」と澪央くんの手を取りベッドまで誘導。さすがにお姫様抱っことかは無理だ。澪央くんは身長約180センチ。オレ17●.●センチ。その差約10センチ。 「待って」 「え?」  ふいに言われてオレは足を止めた。澪央くんが拒むようにもっと後ろで足を止め、オレの手が突っ張る。 「洋服でベッドに乗るの嫌なんで」  嫌悪感を表情に顕す澪央くん。 「もしかして潔癖症?」 「別にそういうわけじゃないんですけど」と首を傾げる澪央くん。 「じゃあ……」  首を巡らすとソファーが視界に入った。ソファーで? そんなとこでしたことないけどトライしてみるか。オレは澪央くんを今度はソファーに誘導した。 「ここならいい?」 「はい……」と澪央くんが頷く。よっしゃ! オレは心の中でガッツポーズした。  二人でそこに座り、見つめ合うとオレの気持ちが急速に昂っていく。鼓動が加速し、瞬きも忘れて澪央くんの顔を穴が開くほど凝視する。整ってんな~、澪央くんには申し訳ないけど、柔道部の先輩が寝技かけたくなる気持ちがわかるわぁ~。澪央くんてほんと美形だもんな。イケメンて子供の時はかわいい子が多いから、澪央くんもきっとそうだったんだろう。顔が綺麗すぎるのも苦労するんだな。オレ、フツメンでよかったかも。てか見ればみるほどかわいいなぁこの子。女に生まれても絶対美人だ。  押し倒したい衝動をそのまま体現するが如く、オレの手が澪央くんの肩に伸びる。いっただきまあああす~♡  ソファーに澪央くんを押し倒し、いざ実食っ♡ のはずだったが…… 「急がないで」  言って澪央くんがオレの肩に触れた。 「?……」  艶っぽい声で言われてオレは目を丸くする。ちょっとつり目で涙袋がある人って微笑するとエロい……。その目でそんなこと言われたら余計襲いたくなる。色気ありすぎだよ、澪央くんっ! 「っっ……」  興奮の極みになったオレは制止を聞かず、そのまま強引に澪央くんを押し倒す。キスで唇から首筋を辿りながら、Tシャツの中を弄った。 「もう……」と澪央くんのちょっと拗ねた声がかわいい。  オレは澪央くんの胸の突起を探り当て、指先で転がすように撫でた。Tシャツを彼の顎下までぐいっと捲る。なにこれ綺麗~。色素の薄い綺麗な乳首とそれを囲む乳輪を見て感動する。なにこの綺麗な乳首と乳輪。エッロ! これならアナルも綺麗そう……ぬっふっふっふ。オレは借金の形に売られた生娘を強姦する悪代官のような気分で、澪央くんの乳首をベロ~ンと一嘗めした。――ん?  「おっぱいがしょっぱい」  ベロを出しておどけるオレ。 「汗掻いたからですよ」と起き上がる澪央くん。  なるほど。そういえば今日は気温が高かった。 「とりあえずシャワー浴びましょう」  Tシャツの裾を下ろして澪央くんが言った。オレはその手首を掴む。 「一緒に入るの?」と上目使いで甘えてみた。 「狭いから順番で」 「……」  さらっと交わされ、オレは不貞腐れて口を曲げた。  ちぇっ、一緒がよかったのに…… 「タオル用意しとくんで先どうぞ」 「サンキューありがとナマステシェーシェー」  オレは不服そうに口を尖らせる。渋々ながら立ち上がると、一人でシャワーを浴びに行った。

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