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13・バツなし三十路男、モテ期晩成?『草食系男子』に狙われる?【愛の巣を探す(?)編】

 そんなこんなで澪央くんと同じベッドの上で朝を迎えたオレだったが、予期せぬ展開だったので当然着替えの類は用意していない。コンビニ行けば買えるんだけど…… 「この服、洗濯しときますよ」  ベッドの脇に脱ぎ捨ててあった、オレのワイシャツや下着を拾い集めて澪央くんが言った。 「え? いいよ、そんな……!」 「気にしないでください。ついでなんで」 「でも悪いし」 「下着も取り替えてないですよね? オレのを貸しますよ」 「ええっ、さすがにそれはいいよ!」 「いやなんですか?」 「いやいやいやいや~!」 「そんなにいやなんですね……」と肩を落としてヘコむ澪央くん。慌ててオレは、手や首をぶんぶん振ってそれを否定した。 「ちがうちがう! そうじゃなくって……オレはいいんだけど、澪央くんは平気なの?」 「平気です、露句郎さんのなら」 「あらそう……」  それは光栄ですが、なんか複雑。 「一緒に住むようになったらオレが洗濯しますし」 「“一緒に住む”って……はずっ!」  いつもすごいことをさらっと言いすぎだよ澪央くんっっ! こっちが焦る…… 「じゃ、これ洗っときますね」  言って澪央くんは、オレの服を持って行った。部屋の奥から洗濯機を回している音が聴こえてくる。オレの服を持って洗濯機まで持って行った。あの子、“良い奥さん”になれるかも……  バタートーストと目玉焼きとコーヒーの軽い朝食を取った後、ソファーの上でまったりする。洗濯も朝食もぜ~んぶ澪央くんがやってくれた。楽だな、この生活……なんて思っていると 「露句郎さん」 「ん?」  視線はテレビに向けたまま、独り言のように澪央くんが呟いた。 「一緒に暮らしませんか?」 「いっ、一緒に? く、暮らすっっ!?」  台詞より台詞っぽい口調になるオレ。他人と一緒に暮らすなんて、女の子ともしたことがなかった。さっきのはその前振りだったのか? 「嫌ですか?」  こっちを向いて首を傾ける澪央くん。猫っぽい釣り目でどこか甘えるように見据えてくる。もうほんと、いちいちかわいいなぁこの子。嫌じゃないよ。嫌じゃないけど…… 「嫌じゃないけど、オレ、オープンにしてないし……」と焦るオレ。  澪央くんがそんなオレの肩に腕を回す。 「シェアすると思えば気が楽でしょ?」とにっこり微笑。ず、ずるい~ 「……」  オレが言葉に詰まっていると 「毎朝オレ、露句郎さんの声で起こされたいな」 「!?」  ごろんとオレの肩に頭を乗せて澪央くんが甘えてきた。  ひゃああ~~ひゃああああああああああああああああ  くっそかわえええええええええeeeeee----!!!!  ズキュン! バキュン! ぐさっ! ぶしゅ~~~鼻血ぶしゅううう!!   庭野露句郎此処に死す。本日二度目の死。  オレの胸は澪央くんに射られた矢だらけだ。まさかこんな女子みたいに甘えてくるなんて……~~いつもツンツンしてる子がやるのは、反則だぞ!?  くそ~~これじゃ、断れないぃぃ!!  澪央くんの手がオレの手に重なる。「ねえ、ねえ?」と問うように甘えるように手を弄ぶ。  からの  キス。  くちゅくちゅといやらしい音を立ててオレの唇を貪る澪央くん。“啄木鳥さん”じゃない。これは恐らく     “前戯”!?    「……」  澪央くんが角度を変えてオレの唇を啄む。唇が離れてから次に接触するまでの瞬間、半開きで寄り目になっている彼の目が、淫らでエロい!   オレの首の後ろに回した手をずらして、整髪料の付いていない髪を撫でる澪央くん。あ、なんかこれ気持ちい。美容師さんにシャンプーされてる時みたい。澪央くんが美容師さんだったら毎日シャンプーしてもらいたい。はあ……  オレはトロンとした目でその心地良さに溶けていく。やべ、これ  始まるのか?  朝から?  第二  ラウ~~~~~~~~ンド!!!!  オレは準備態勢に入った。  オーケー~~・・・・バッチコーーーーーーーーイ!!!! 「今から見に行きましょうか?」 「え?」  フライングされ――というかオレの期待は外れ、行き場を失うオレの「興奮」という名の「純情」  淡々とした口調で澪央くんが言った。 「物件」  そっちかよっ!  その日は澪央くんと二人で何件か不動産屋を見て回り、夕方帰宅した。我が家に落ち着くとオレは、さっそくこのことを報告するために海理にラインした。 ろく 『昨夜澪央くんちに泊まっちゃった』 かいり『おお、お泊まりか? で、どうした?』 ろく 『エロいことしちゃった』 かいり『今度は最後までできたの?』 ろく 『まだ最後まではやってない』 かいり『なんで?』 ろく 『途中で寝たった…』 かいり『なんでやねん!』 ろく 『知らんがな』 かいり『でも今度はおっさんの時みたいに、やじゃなかったんだ?』 ろく 『うん、澪央くんは綺麗な顔してるから』 かいり『ふーん』    『よかったな』 ろく 『うんこ』 かいり『ぷーーーーん』 ろく 『↑誤字!うんこ×→うん』 かいり『誤字かよ臭』 ろく 『一緒に住みませんって言われちゃった』 かいり『>住みません     ふられたの?』 ろく 『ふられてねーよ怒』    『同棲しませんかって言われたの!』 かいり『そっちか』    『でも早くね?』 ろく 『ですよね』    『オレ保険金殺人とかで狙われてるのかな』 かいり『あるかも((( ;゜Д゜))』  ちなみにルームシェアという条件で物件を探してみたが、男同士で住めるような物件はなかなか見付からなかった。あっても通勤距離が遠くなってしまったり、男女で暮らすシェアルームだったり条件が合わず。そんなわけでこの話は一旦保留となってしまった。

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