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第4.5話 “可愛くない” チョコレート

“バレンタイン”、“手作り”、“キット”・・・・・・ それから“簡単”で検索っと。 うっわ、715万件!いろいろありすぎ。 ん~~キーワード、“可愛くない”も追加と。 検索結果の画像はまだまだ可愛らしいものばかり。その中から少しでもシンプルな見た目のものを探す。 そう、俺は初めてお菓子作りに挑戦するつもりなのだ。 職場でのコーヒータイム、上司がチョコレートをつまみながら苦笑いする。 「今年は友チョコ40人分だって~!今のバレンタインは男の子そっちのけよ。手作りするって言うから、もうキットを買っちゃおうと思って。作るのは良いんだけど後片付けが大変なのよね」 そう言いながらも楽しそうだ。お母さんと小学生の娘さんがキッチンに並ぶ姿を思い浮かべて頬がゆるむ。 俺の知らないうちにバレンタインは様変わりしているらしい。小中学生の女子にとっては友チョコ交換会の日なんだそうな。今までは貰う立場だったから、2月14日は何となくソワソワしてただけで、そんな世情は知らない。 しかし、しかしだ。来たる2月14日、俺はあいつにチョコレートを渡すつもりなのだ。 思いがけず想いが叶って、なんと恋人同士になった。恋人かあ。この響きがむずがゆくて、にやけた頬に血が上る。俺今、気持ち悪い顔してるよな、きっと。たまらずクッションに顔を埋めれば、生地のひんやり感が気持ちいい。 そう、俺は普通の男ですから・・・・・・可愛いチョコは避けたいんだよね。絵面が厳しいと思うんだよな。 恋人になってから、いやよく考えたら昔から、あいつには与えて貰ってばかりな気がするんだ。あいつといて楽しい、嬉しい、心地良い、幸せ。 幸せなんだけど悔しい。あいつも幸せにしてやりたい。 俺にできる事っていったら飯作ってやる位で、もちろん、あいつは旨そうに食ってくれるけど、俺の気持ちをもっと、もっとぶつけてやりたい。 バレンタインならこの気持ちが少しは見えるんじゃないかって期待もあって、手作りのお菓子を贈ろうと思うんだ。初心者の俺でも作れて、ちゃんと美味しくて、そして俺が差し出してもイタくないもの。 結局それから3日かかってやっとポチった。予備もたくさん買った。 『お前が作ったのか?』っておまえの顔。ついつい想像してニヤケちまうけど、まずは練習しないとな! ***************** マヤさんのTwitter企画 #blSS企画チョコっと幸せをあげます #受けから渡すバレンタイン に参加させていただいたものでした! 2020.02.12

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