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grow apart

「今日も行くのか?」 出勤の支度をする僕に、トースター待ちの(さかえ)が問う。 「あぁ」 袖のボタンを留めながら僕は答える。 毎朝のルーティーンの様に、この会話を繰り返している。 「ふーん…」 栄は面白くなさそうに返事をこぼしながら、熱々のパンを指先で格闘しつつ摘んで皿に乗せていた。 「行ってくる」 結局今朝も栄と視線を合わせぬまま、僕は家を出てきてしまった。栄が不満なのは仕事に行くことではない。仕事を終えたあと、真っ直ぐに帰宅しないことが不満なのだ。

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