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第38話狐には分かるまい
尻尾は当たり前のようにふわふわと毛をなびかせている。久しぶりに見たけど、健在だ。俺のDNAにはきちんと狐が刻まれている。
「…………うん。毛並みが良くない。規則正しい生活をしてないだろう。いや、食べ物か」
指で輪っかを作り、お尻の方から尻尾をふわさふわさと流している。細かく毛を観察し、匂いも嗅いでいる。
前が完全に勃っているのを隠すため、咄嗟に後ろを向いた俺には木ノ下さんの表情が見えない。
でも、声色で分かる。息も心無しか荒い。控えめに言って木ノ下さんは俺の尻尾にとても興奮している。
(変態……だけど、こんなことされて、興奮している俺も変態だ)
以前のような、嫌々で木ノ下さんにしょうがなく付き合っている気持ちはない。
恥ずかしいけど、嬉しい。俺にしかできないことで、木ノ下さんが悦んでくれてる。煩わしいことだらけだった狐は、好きな人が丸ごと受け入れてくれた。それだけで十分幸せではないのか。
俺は尻尾が性感帯だ。特に、根元の部分はお腹へズクンと響いてくる。
木ノ下さんは、俺の尻尾を根元ごと揉み込むように触り始めた。自然とお尻を突き出すような格好になる。前から垂れた汁がシーツに染みを作っていた。
こんないやらしい格好で、木ノ下さんが引かないか心配になる。
与えられる快楽に余裕は全くなかった。
「…………ぁ、あ……あん、やだ……」
「やだって感じじゃないだろ」
「や、おかしくなりそ…………ぁ」
「お前は尻尾を触ると、後ろがひくひくするんだよ。ほら、ゆっくり息してみろ」
「ん……はぁ、はぁ……ぁ、あ……」」
逃げ腰になっても、すぐ戻される。
すーはーと、ゆっくり深呼吸した。好きな人とこんなことするのは初めてで、普通が分からないけど、ものすごく恥ずかしい。明らかに以前と触り方が違う。
息を吸うと同時に、指が後孔をなぞり始める。お尻の襞を優しく広げたり縮めたり。時折、指が中へ入りそうになっても、木ノ下さんは奥まで進めることはしなかった。
「はぁ……ふ……ぁっっっあ、あ、ん……、やだ、やだ、きもち、いい……ぁ」
「そろそろ前がキツいな。俺も辛い」
くるんと身体が反転した。
木ノ下さんがTシャツを脱ぐ。圧倒的な雄を凝視してしまう。生命体としての雄レベルが高い。想像したよりも数倍、無駄の無い引き締まった身体をしていた。
分かってたけど、木ノ下さんの息子もしっかりと天を向いていた。それに反応するように、尻尾がぞわぞわと毛羽立つ。
「何見てんの」
「かっこいいなって……、思って……」
「まあな。狛崎よりはいい身体してるしな。ほら、股開け」
「え、股……!!!」
「お前の息子も限界だろう」
必死に隠していた俺の勃ったモノを露わにされる。そこへ木ノ下さんは自身のモノを重ねた。
大きさが全然違う。有り得ないんだけど。同じ性器なのかな。形も色も俺のは成長が止まったみたいに幼い。
「根元を抑えろ。そう。片手で俺のと自分のを握って。じょうずだ」
ちゅ、とキスをする。俺の両サイドに手を着いた木ノ下さんが腰を動かし始めた。
「……………ぁ、ぁ、あ……、ぁんっ」
互いのモノが擦れて言い知れぬ快感が下半身へ広がる。
この体勢はセックスしてるみたいだ。木ノ下さんの重さが伝わってくる。
俺から出てる透明の液体が潤滑油の役割を果たし、にちにちといやらしい音を立てていた。
「イきそ……出、ちゃう……ぁ、ぁ……」
「根元、しっかり押さえとけ。イくにはまだ早い」
「え……えぇっ」
気持ちの良い階段で、いきなり通せんぼされた。
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