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2.わんこ-1

「んっ、ふ、んん、っぁ」 チュッ、生々しい水音と上擦った俺の声。 「も、止めろってバカキラ」 「ヤダ、もうちょい」 あ~もぉ、なんだよコレ。 あの日話の流れでキスされてから俺は毎日二人にキスをされている。 気持ち良いからって理由で。 まぁ、気持ち良い事に間違いはないのだが、何故毎日する。 別に特別嫌という訳ではないが、う~ん。普通に考えてこの状況っておかしくないか? 「なぁ、お前等はキスしないのか?」 お前等とは瑛良と燈夜の事で。 俺とすんのが気持ち良いなら二人はしないのか? 流れ的にするよな? 「う~ん。なんか無理」 は? 「…………俺も無理だな、うん」 何二人共微妙な顔してんだ。 ていうか、俺とは喜んでするクセに変な奴等だな本当に。 「あっ、そう言えば今日サッカー部の新戸部(にとべ)から聞いたんだけど、新戸部S〇Xした事あるらしいんだ」 今日はサッカー部か。ほんっと何処にでも顔出すなぁ瑛良は。 「え、新戸部って同じクラスのあの新戸部?」 「そうそう」 「は?マジで?」 新戸部とは153cmで童顔な可愛らしい顔立ちの奴で、サッカー部というのも初めて聞いた。 ていうか、新戸部彼女居たんだ。羨ましい。 「へぇ。で、それがどうした?」 オイオイ、クールだな燈夜。 俺等よりも小さくて可愛らしい奴に先を越されたんだぞ色々と。 ズルイとか羨ましいとか焦るとか、なんか反応しないわけ? って、ああ、そうか。 燈夜モテるからなぁ、本気出せば簡単に相手見付かりそうだし焦る必要ないわけか。 瑛良もモテるからなぁ。 って、焦らなきゃなんないのって俺だけじゃん?このメンツじゃ。 くそぉ、イケメン滅べ。 「蒼空?」 苦い顔をしていたら燈夜に顔を覗き込まれた。 あっ、格好良い。 じゃなくて。 「…………蒼空」 ん? 突然真剣な顔してどうした?瑛良。 お腹でも痛いのか? 「試してみないか?俺達で」 「何を?」 「うん?S〇X」 は? 何言ってんだ?バカキラ。 「いや、普通に考えて無理だろう。俺お前とそういうの無理だし」 本気で嫌そうな顔しながら瑛良を見る燈夜。 「あっ、安心してくれ燈夜。俺もお前を抱く気にはならない。勿論抱かれる気にもな」 だよなぁ。 なら何で言い出したんだ? 「でも蒼空ならありだろ?」 は? 「……まぁ、ない事はない」 うん? 何がありで、ない事はないんだ? 意味不明なんだが? 「ていうか、そもそも男同士ってどうやってするんだ?」 「少し待て、調べるから」 「あっ、俺も調べる」 ちょっ、あの、二人共? 何俺抜きで話進めてんだ? 「へぇ~。そういう事か」 「うっわ、マジで?まぁ、蒼空になら出来るか」 「だな」 なんだよ二人して。 二人だけで盛り上がんなよ。寂しいじゃんか。 スマホの画面に釘付けな瑛良と、何か分析する様にiPhoneを弄る燈夜。 一体何を調べて盛り上がってんだ? さっき俺ならありとか言ってた様な気ぃするけど何の事かサッパリ分かんねぇし、暇だし、寂しいし。 うん、漫画でも読もう。 朝隣の席の柳原(やなぎはら)に借りたジ〇ンプを鞄から取り出し、目を通す。 「あ~そういえば今日俺用事あるんだった。先帰るな」 「用事って?」 「うん?なんか妹が勉強見て欲しいってさ」 「桜姫(さき)ちゃんかぁ。そういや最近逢ってないけど、元気?」 「ああ、アイツ彼氏出来てから殆ど家に居ないからなぁ」 「え~。桜姫ちゃんに迄先越されたぁ」 「やっぱり俺等ヤバくね?」 「だからさぁ、気にすんなって。人は人。自分は自分だろ?取り敢えず俺帰るから今日は二人で宿題頑張れよ?」 「え~?分かったよ。頑張る」 「じゃあな」 俺達は基本学校が終わると誰かの部屋に集まって、一緒に宿題をする。 一人でするより燈夜が居る方が物凄く効率が良いからだ。 因みに今日は瑛良のアパート。 瑛良の親は共働きで、父親は単身赴任中で、母親は近くのショッピングセンターでパートをしている。 今日は瑛良のお母さんは仕事の後友達と夜御飯を食べてくるらしいから、完全に二人で頑張らなければならない。 まぁ、今日はいつもに比べたら少ないから大丈夫か。 「やるか」 「だな」 二人で宿題に向き合った。

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