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5.お兄ちゃん-2

重なり合う唇。 ふと目を開けると物凄く優しい表情で微笑まれて、なんか安心した。 瑛良の時と違って怖くない。 相手が燈夜だからか、スッゴイ安心感がある。 緊張からか無駄に入っていた力をゆっくり抜き、ゆっくり燈夜の背に腕を回した。 「…………んっ、ふぅ、ぅんん、ん」 微かに開いた口の端からゆっくり侵入してきた舌先。 触れ合うだけの優しいキスが、一気に深くてより甘い刺激的なキスに変わった。 瑛良は全力で俺に甘えてくるが、燈夜は逆に俺を物凄く甘えさせてくれる。 キスの合間に触られる身体。 遠慮がちに這わされる指先。 「蒼空」 名前を呼ばれ、目線を合わせると 「……っ」 凄く艶っぽい熱い眼差しを向けられ有り得ない位胸が音を立てた。 何だ、コレ? まるで階段を全力疾走で駆け登った後みたいに動悸がする。 「可愛い。蒼空、可愛い」 何で、視界が潤むんだ? 「蒼空?」 何故涙が出る? 「俺に触られるの嫌?」 「……違…う」 「なら、どうして泣くんだよ?」 分からない。 瑛良の時は涙なんて出なかった。 嫌じゃないのに何故出るのだろう。 「嫌なら止める?」 「ヤッ!止めちゃヤダ。………して?燈夜に沢山触って欲しい」 縋る様に腕を掴み、必死に訴える。 多分燈夜は優しいから俺が拒絶したらしない。 一度でもそうしたら、きっと優しい燈夜は一生俺に触れない。 それは嫌だった。 昨日瑛良にされた事を燈夜にもして欲しい。 沢山沢山触って欲しい。 キスして? 俺を……………抱いて? チュッ、恐る恐る燈夜の唇に自分の唇を重ねる。 震えてしまうのは緊張か歓喜か分からない。 はぁ、零れる吐息が熱く甘くなってしまうのは無意識。 どうしてだろう。 燈夜に抱かれたくて堪らない。 「燈夜……お願い…抱いて?」 キュッ、背中に腕を回ししがみつき、甘えた声を出しながら耳元で懇願した。 ………っ。 燈夜の硬くなってる。 密着してる為、硬度の増した燈夜の物が当たる。 嬉しい。俺で興奮してくれてるんだ。 そう思うと本気で心が満たされた。 「あんまり煽らないで?蒼空。優しく出来なくなる」 いつもより艶味を増した表情は色っぽくて直視出来ない。 「良いよ。燈夜になら何されても良い」 胸に顔を埋めながら小さく零した。 優しく出来なくなる。そう言ったのに、燈夜は凄く優しかった。 全身に這わされた唇と舌先。 舐められ時折吸われたが、瑛良みたいに強くはされなかった。 キスマークを所有印と言った燈夜。 付けられるだけで所有物になれるのなら、付けて欲しい。 付けて? 言いそうになって違和感を感じた。 俺なんかおかしい。 何故こんなにも燈夜を欲しているんだ? 抱かれたい、所有物になりたい。 燈夜に愛されたい。 って、まさかな。 俺にとって燈夜と瑛良は親友だ。 それ以上でも以下でもない。 多分甘くなってしまった雰囲気と変な流れで勘違いしてるだけだ。 好き。 思わず口から零れ出そうになった言葉をキスして呑み込んだ。 「おはよ蒼空。身体大丈夫?」 ゆっくり目を開くと心配そうな顔で燈夜が挨拶をし髪を梳いた。 瞬間昨日の事が一気に甦り 「………おはよ」 恥ずかしさで頭を燈夜の胸板に当てて顔を隠した。 燈夜は自分の欲望より俺を気持ち良くさせる方を優先した。 数え切れない位キスしてくれて、いつも以上に優しく髪や頬を撫でてくれて、繋がる瞬間とイク前後は手も繋いでくれていた。 眼差しは慈しむ様に甘く優しくて、心身共に満たされた。 「動ける?」 聞かれ上体を動かすと少しの気怠さはあったが、瑛良の時と違い鈍い痛みや疲労感はなかった。 コクリ頷くと 「なら一緒にシャワー浴びようか」 燈夜は俺に手を差し伸べた。 その後は燈夜の家で朝食を頂いて一緒に登校した。 「おはよ~蒼空」 「おはよ瑛良」 教室の扉を開けるなり抱き付かれる。 何故俺が其処に居るって分かった。 匂いか?足音か?まさか気配? なんかわんこのレベルがアップしてきてる気がする。 「燈夜の匂いする」 いや、確実にレベルアップしてるなコレ。 抱き付くだけで分かるとは恐るべし嗅覚。 「蒼空移動しよ?」 は?何言ってんだ。もうすぐ担任来るぞ。 「燈夜の匂い消すから俺で上書きさせて?」 上書き?意味分からん。 「屋上行こ?」 瑛良に手を握られた途端 「馬鹿か」 ペチッ、燈夜が瑛良の手を軽く叩いた。 「先に手を出したのはお前だろ。俺達は親友であって恋人ではない。一々対抗してたらキリがない」 「………そう…だけど」 燈夜に言われて顔を俯けた瑛良。 俺も恋人ではない宣言を耳にし、分かってはいたが少し落ち込んだ。 お昼休み、移動した空き教室で 「そうだ。ルールを作ろうか」 ルール? 燈夜が提案した。 「互いにしたい時にしたい事をするが、嫌な事は絶対にしない。例えばしたくない時に迫られたら断ってもOKみたいなのはどう?」 悪くないな。 「他に何かあったら今の内に言って?」 燈夜に促され、俺達はルールを作った。 人前では無闇に手を出さない。変な目で見られるからな。 互いの合意がない時はキスもそれ以上もしない。 基本ゴムは着ける。 蒼空の負担を考慮して連日はしない。 燈夜と瑛良はヤリ過ぎない様にきちんと手加減をする。 好きな人が出来たり恋人が出来たらこの関係を止める。 あとは他に気になる事が出来たらその都度ルールを増やしたり変更する事にした。

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