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2018年12月24日-18
千景の自宅に着いた瞬間、ふたりはまた全身を絡ませ、口づけに没頭した。
玄関でマフラーやアウターを脱ぎ、リビングのベッドに雪崩れ込んでから、互いに服を脱がし合い、裸になった。暖房をつけたばかりで、暗い室内は冷蔵庫のように冷えている。それでも、相手の素肌に早く触れたくてしょうがなかった。
ふたりは布団にくるまり、きつく抱き合いながら、深いキスを繰り返した。唇を吸い、舌を舐め、混ざりあった唾液を飲んでいるうちに、頭の芯が鈍く痺れ、ぼうっとしてくる。身体の奥からぼんやりと生まれた熱が全身を巡り、どうしようもなく昂ぶってきた。
「……あの日から、他の誰かとした?」
獣じみた口づけの合間に、吐息まじりの声で千景が訊ねてきた。まぶたをうっすらと開けば、彼もまた薄目で岳の双眸を見つめていた。
千景はきっと、察しているのだろう。いくら身体を洗い、汚れや匂いを落としても、その名残を感じとったのかも知れない。欲情した彼の瞳は少しだけ、悲しげに潤んでいた。
素直に答えれば、千景をもっと悲しませることになるだろう。
それでも岳は、正直に言った。
「風俗の女とクラブで声をかけてきた女と、何人か」
「……そっか」
案の定、千景は傷ついた表情で目を伏せ、けれどもすぐにまた、岳を見つめてくる。
「男とは、寝てないんだな」
「……男とヤれば、嫌でもアンタを思い出すだろ」
岳は言い、汗ばみだした千景の裸体をさらに抱き寄せた。
「けど、アンタを忘れるために女とヤッても、ダメだった……暇さえあればアンタのことばっか考えて、苛ついて……、アンタに会いたかった……」
千景は、ふふっと苦笑を洩らした。それから、そっと唇を啄ばんでくる。
「……俺も、本当は君に会いたかった」
そして、ピアスの穴が空いた岳の耳たぶを触りながら、下唇をちろりと舐めてきた。
「これからは、誰とも寝ないで……俺とだけ、こういうことして……」
切々とした声だった。それが、岳の胸を深く貫いてきた。
千景の唇にしゃぶりつく。口腔を舌でねっとりと愛撫した後、ゆっくりと顔を離し、相手の目を見つめる。
「分かってる……俺はもう、アンタしかいらない。アンタを裏切るようなことは、絶対にしない」
浮気をした人間と、された人間が身近にいた者としては、それを徹底的に唾棄し、戒めとしなければならなかった。
大切な人を、どこまでも深く傷つける行為なのだ。そんな不誠実なことをしてみろ、あの男や千景の元恋人そのものになってしまう。自分は決して、そうなってはいけない。
千景の美しい身体を、おもむろに撫で回す。千景は顔をかすかに歪め、吐息を乱した。
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