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2018年12月24日-19

「……っ……、ぁ……」 「アンタも、俺だけを見てろ」 「……、うん……」  当然だと言わんばかりに、千景は何度も頷いた。彼が他の男に気を移すなど、どう考えても有り得ないだろうが、こうして言葉や仕草で伝えられると、そうだと確信させられる。岳は口を左右に広げ、千景をシーツに組み敷いた。  しなやかに張った胸板を両手で揉みしだく。手のひらに硬い弾力を感じながら、指先で米粒ほどの尖りを弄る。千景は発条(ばね)をきかせたかのようにひくりと跳ね、甘い声をあげる。薄茶色の乳首はぷっくりと膨れ、いやらしいかたちになった。 「あっ……あ、ァ……」  全身の皮膚を薄朱色に染めて、艶やかに身体をくねらせる。千景は恍惚と目を細めながら、岳の下半身に視線を垂らしていた。  互いにそうだったが、岳の自身は血管がくっきりと浮き出るほどに太くなり、反り上がっていた。  久しぶりに千景とキスをし、彼の人肌に触れ、痴態を目の当たりにし、これまでにないほどに興奮している。はち切れんばかりの熱と質量がそこに集まり、剥き出しの亀頭はカウパーで湿っている。少しでも身を動かせば、棹は重々しく揺れた。  そろそろと、千景の両手がそこに触れる。汗ばんだ熱い手のひらで包まれ、淡い快感が腰にへばりついてきた。岳は微かに上擦った声を洩らし、身体をぐっと強ばらせる。 「……ッ」 「……あの、さ……」  頬を真っ赤にして、千景がおそるおそる見上げてくる。 「下手、だけど、舐めていい……?」  自信なさげな声と恥ずかしげな表情だった。その様子に、岳の情欲はとてつもなく煽られた。千景が「うわっ」と声を出して驚くほどに、性器はさらに大きくなった。 「……アンタさ」 「……う、うん……?」  一旦、気持ちを落ち着けようと、岳は片手で目を覆い、はーっと長い息を吐く。 「ぜってー、そっちの方がいい」 「……え?」 「前までの、『俺、こういうの慣れてるから』っつって余裕ぶっこいてんのより、素でそういうこと言われる方がムラムラする」  千景はますます赤らめ、固まった。こんな時、どんな顔をして何を言えばいいのか、てんで分からないといった様子だった。ウブな反応に、なんだかこちらも恥ずかしくなるが、それ以上に興奮する。  岳は再び千景を抱きしめ、そのままごろんと横転した。それから、彼の頭をぽんぽんと撫でる。 「俺にもしゃぶらせろ」 「へっ?」  素っ頓狂な声が耳元で聞こえ、これには思わず、くつくつと笑った。 「ほら、ケツをこっちに向けろって。AVかゲイビで見たことあんだろ。あれ、やるぞ」 「えっ、え……えぇ……」  顔を上げた千景が、エサを求める鯉のごとく、目を丸くしながらぱくぱくと口を動かしていた。色気もへったくれもない表情に、笑いがさらに吹きこぼれてくる。布団をめくり、暖まりきっていない部屋の空気に触れる。少し寒かったが、耐えられるくらいだ。引き締まった千景の臀部を掴み、「ほら、早くしろよ」と促せば、彼はぎこちないながらも身体を動かした。

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