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第3話
これをきっかけとして僕とだるまさんの物語ははじまった。
「だるまさん!」
「おう、また一年ぶりだな」
あれから何年もたち、だんだんわかってきたこと。
まず、この僕たちの住む町は基本的に暖かい気候で年に一回雪が降るか降らないかだってこと。
それから、僕はだるまさんに比べて体が小さいから次の日にはすぐに溶けてなくなっちゃうこと。
あと、僕がいなくなった後もだるまさんは意識を持っているらしくて何日か寂しい思いをしちゃっていること…
だるまさんはね!
鼻が高くて、スラっとしていて、お洒落さんでかっこいいんだ~
「ねぇねぇ、今年は何する?去年はお星さまを一緒に見たでしょ~何がいいかな?」
「そうだな、今年はお話しでもしようか」
「いいね!まただるまさんを一人で寂しくさせちゃってたからね。僕が溶けちゃった後のお話聞かせてよ!」
そうだなぁ…と話を始めただるまさんの顔をじっと見ながら話を聞く。
はじめのうちは僕が溶けてから人間の姿にはならないでじっとしていたらしいんだけど、僕が見たことのないものの話を聞きたいって言ってからは、一人でいろんなところに行ってその話を翌年にしてくれるようになった。
去年はこんなところに行った、あんなところもあった。
そんな話を聞いているだけで楽しいし、楽しいとあっという間に時間は経ってしまって、夜が明けてきた。
また、お別れの時間だ。
「…そろそろ元の姿に戻ろうか」
「うん!また来年だね!」
「…あぁ」
溶ける直前は意識を持っていられないから日の出と同時に僕の意識はスーッと落ちていく。
Sideだるま
もう一人の寂しさには慣れたものだ。
うさぎと一緒にいられる時間はほんの数時間。
俺はまたこれから何日か日中じっとして、夜になったら見たことのないものを見に行く。
だが、うさぎには言わなかったが俺らは次に会うのが最後になるかもしれない。
というのも、俺たちを作ってくれた子供ももう成長して大人になった。
毎年まるで義務のように僕たちを作ってくれていたが、どうやら高校卒業と同時に家を出ていくらしい。
一人暮らしとなれば今のように庭付きの一戸建てとはいかないだろうし、俺たちを作る場所がなくなってしまう。
今年は言えなかったが、来年は言わなくてはならない。
いや、もしかしたら来年は雪が降らないかもしれない。
そうするとこれで最後になってしまう…
言うべきだったかもしれない。
そんな後悔が頭をよぎった。
あぁ、もう彼が起きてくる…
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