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森孝くんと結しゃんの話10
―森孝―
月曜の朝は、見なくても分かるほど、どんよりした曇り空だった。
学校の最寄駅で太陽と合流し、まこっちと三人で学校に向かう。
勝手にこぼれたため息に、まこっちが反応した。
「なんしたが? 朝っぱらから、でっけーため息吐いて。かまってちゃんか」
口元には電車の中でぼりぼり食っていたカロリーメイトのかすが付いている。
「別に、なんもしねぇし」
何でもない、と言ったものの、全然なんでもなくなかった。
予想はしてたけど、結しゃんとゲームで会うことがなくなったのだ。
そりゃ、会ったことを忘れろって言ったところで、忘れられるわけないよなぁ。分かってはいたけど、あからさまに避けられると、悲しいを通り越してむなしくなる。
自然と俺のログイン時間も減って、ラインで仲間に催促される始末だ。もうこのまま引退しちゃおうかなってくらい、心がぼっこり凹んでいる。
「俺って、見た目、怖ぇのかなぁ」
「ぷっ、中尾は怖くねぇだろ。チャラいだけ。チャラ尾だもんな。ぷぷっ、ぷくくっ」
「チャラ尾て。自分で言っといてツボんなし」
変な笑い声をあげてるまこっちの横で、太陽が、んー?っと首を傾げる。女子に人気のあざと可愛さは天然だ。
「森孝はお洒落でやってるんだって、わかるけどなー。でも、もしかしたら、怖く思う人もいるかもね。金髪イコール不良!みたいな」
「今どき、金髪にしてるだけで不良って思うやつ、いんの?」
笑いすぎて涙を浮かべたまこっちの視線が、徐々に上に上がっていく。終点は俺の髪の毛。
「うちの学校にいると麻痺すっけど、世間では金髪って少数派だからな。引かれんだろ。俺も中尾に最初会った時、引いたもん。漫画の中のヤンキーって、現実にいたんだって」
「……やっぱ、見た目かー」
「「やっぱ、って?」」
二人の声が揃う。
「別に、なんもない」
ループした俺の話にまこっちは興味をなくしたらしく、髪を整えている。太陽はそっと興味ないふりをしてくれた。
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