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たぶんストーカーじゃない3

 早く電話、こないかなぁ。  バイトの日は時間に余裕がなくて考える暇もないけど、時間が有り余ってると妙にそわそわする。  23時過ぎ、ようやく鳴ったスマートフォンを急いで手に取った。 「もしも――」 「……っ、はぁ」  スマートフォンの向こうからいきなり変な吐息が聞こえてきた。これはあれだ、「君のパンツ何色?」とか訊くたぐいのやつ。変態野郎からの電話に違いない。さっさと切ろう。  俺は迷わず通話をオフにした。善から電話がくるのに迷惑だなぁ。取れなかったらどうしてくれんだよ。  切ってまたすぐに電話がかかってくる。着信の相手は善だ。今度こそ! 「もしもし。お疲れ――」  電話の向こうから、さっきよりも若干荒くなった吐息が聞こえてきた。  あれぇ、おかしいなぁ。表示されてる名前、善なのに。おかしいなぁ。  ま、さっきの電話も善からだって知ってたけどね!  名前見たからね! 「何してんの?」 「ナニしてるの」 「ナニしてるって、変態のおっさんかよ」  アホみたいなことを言ってくる善に、つい地の声が出た。一応これでも、善には良く思われたいって気をつかってたのに。  聞こえていた荒い息がおさまった。善が自分を落ち着かせるように深く息を吐く。 「ちょっと……気分、落ちつけてくる。シャワー浴びてる時からムラムラしちゃって、一人で突っ走ってた」  じゃ、もう少しだけ待ってて。と言って善は電話を切った。  俺だって別に、エロいことしたくないわけじゃないんだけどなぁ。  夕方会った時あまり話せなかったせいで、いつもより寂しい。不完全燃焼だ。気持ちを紛らわせるために、指をもじもじさせても落ちつかない。  俺は電話する前まで弄っていた下半身に手を伸ばした。拭ききれなかった先端がまだ少しだけ湿っている。  こんなことなら、一発抜かなきゃよかった。善のあの様子だったら、ムラついてたって引くことなかったのに。  そのままなんとなしに弄んでいたら、少しずつ下半身が硬くなり始めた。新しい雫が、先端からじわりと浮かんでくる。  やっぱり声聞きたいな。一人で弄ってても、むなしいだけだし。  終わってないのはわかってて、善に電話をかけた。 「まこ? ……っ、もうちょっと待って。いきそびれそう……っ」 「なんだよ、人の声聞いていきそびれそうって」 「だって、必死に気ぃそらさないと変な声出るし。まこに引かれたくない」 「そりゃ、なんの前置きもなしにハァハァ言われたら引くけどさぁ。別に、したくないとは言ってないだろ」  一度イって敏感になってる亀頭を人差し指でなぞると、身体が小さくはねた。鼻から、自分でもわかるくらい甘ったるい吐息が抜けていく。 「まこ、弄ってる? ちょっとだけ……可愛い声、聞こえた」 「確認しなくたってわかるろ。つーか、善の声聞いたらヤバそうだっけ、電話くる前に抜いた。これ、二回目」  何を言われたわけでもないのに、電話の向こうから伝わってくる空気が変わった。

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