66 / 72
雑なキューピッド7
―善―
「触られるの、怖くて」
まこは震える声を必死に抑えながら言った。
たぶん、前に須藤が言っていた、〝簡単に触れたらいけない過去〟に触れた。二人になって浮かれていた頭がすうっと冷静になっていく。
「まこにつらい思いさせるつもりなかったのに、無理に言わせて、ごめん」
まこに伸ばしかけた手をとめた。触ったらまた嫌な思いをさせるかもしれない。
だけど震えるまこをただ見ているだけじゃもどかしくなって、まこに問いかける。
「ギュウしたいってことは、いきなりじゃなかったら触っても平気?」
「……ん、ハグするくらいなら、多分へーき」
「わかった。じゃあ、今からギューってするからね?」
まこに言って、毛布の中でポコンと膨らむまこの背中を抱きしめる。一瞬力が入ったものの、段々と体の強張りがなくなってきた。
「嫌じゃなかったら、顔見せて?」
「……ん」
毛布から顔を出したまこを、もう一度抱きしめる。今度はまこからも抱きしめ返してくれた。
安心したような顔をしているまこを見て、さっきおあずけにされたジュニアが出番とばかりに大きくなった。
勘違いだから引っ込んでて下さい。願いは悲しくも却下され、元気に主張を始めている。
まこも膨らみに気づいたみたいだった。
「善の、大っきくなってるね」
「こんな流れで元気になっちゃう、だめな子ですみません」
「ううん、善が俺で興奮してくれることは、嬉しいよ。拒否っといてあれだけど、ほんとに嬉しいから」
まこの言葉を聞いて、下半身がギュンっと硬くなる。
まこは火に油をジャブジャブそそいでいる自覚はあるんだろうか。
「もう、煽らないの。触りたくなっちゃうでしょ」
必死さがにじまないようにプクっと頬をふくらませた。
「流石にエッチできる自信はないけど、善の、触ろっか? 手で触るだけならわりと平気かも」
「うわっ、魅力的なお誘い。でも無理しなくて大丈夫だよ」
「ん〜……無理、じゃなくて。触りたくなったとか言ったら、引く?」
言っておいて恥ずかしくなったのか、まこは俺の肩に顔をうずめた。ぐりぐりと埋まりそうないきおいだ。
「全然引かないし、嬉しい。ほんとに触ってくれるの?」
また毛布に隠れようとするまこをつかまえて頬にキスする。
まこはおそるおそる下に手を伸ばしてきた。指でホックを外して、山型に膨らんだファスナーを少しずつおろしていく。
ともだちにシェアしよう!