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初めての初詣4
―善―
息を切らしながら車内に入ってきたまこは、辺りを見回してから俺の向かい側に腰を下ろした。赤くなった鼻をスンとすすって、乱れた前髪を整えている。
うん、今日も可愛い。盛り盛りヘアーのおかげでチャラさが五割増しだけど、俺のために頑張ってオシャレしてくれたんだなぁと思うと、ついニヤけそうになる。
目が合うと、まこも俺に会うのを楽しみにしてくれていたのか、嬉しそうに笑った。でも、なんで反対側に座るんだろう。
わかる、わかるよ。まこが人に見られたくないって思ってることはわかってる。でもね、今車内ガラガラだよ。
一分でも、一秒でも早くイチャイチャしたかったのに。
別に少し残念なだけで怒ってはないけど、俺は無表情で窓の外を見てるふりをした。横目でまこの表情を確認する。
まこは泣きそうな顔で手をグーパーして、腕を俺のほうに伸ばそうとしてみたり、引っこめてみたり。その度にさらに泣きそうになっていた。
須藤にも人前でイチャつくなって忠告されてるし、無理はしなくていいのに。そう口で言ってあげればいいのに、つい意地悪な気持ちになった俺は黙ったまま窓の外を見るふりを続けた。
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