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初めての初詣10
何度も好きだと呟きながら、まこは舌を絡ませてきた。表面のざらざらを擦り合わせ、チューチュー吸って、幸せそうに微笑んでいる。出しっ放しの舌はつりそうだけど、ずっとこうしていたいなぁ。
「善……」
まこは俺の名前を呼んで、また俺の肩に顔を埋めた。
冗談めかして返す。
「な〜に? 俺にチューチューされたくなった?って、そんなわけないか」
「そんなわけ、ないとも言えない」
「……え?」
「俺がやだって言ったのにごめん。今さらだめ? 善にべろでされたい。もう舌がびりびりして痛いが」
泣きそうな声のまこをぎゅっとする。
「していいの?」
「うん、善がいやじゃないなら」
「いやなわけない。まことチュウできるの嬉しいな。楽しみ」
頬にキスをすると、まこは顔を上げた。どちらからともなく顔を近づける。
唇をついばんで熱い口の中に舌を差し込むと、まこから甘い吐息がもれた。
あ、本当に平気なんだ。
さっきまで好き放題してたくせに縮こまっている舌をつつくと、まこはおずおずと舌を絡ませてきた。軽く擦っただけで体がびくんとはねる。
なぜかまこの顔が不安げに変わった。やっぱりキスしていいとは言ったものの、気持ちがついてこないのかもしれない。
「まこ、チュウするの無理してない?」
「無理はしてない。……でも、チュウだけで感じてるとこ、善に見られるのが嫌だ」
「えー? それなりに経験があるのは須藤から聞いてるけど、それでも嫌? まぁ、チュウだけでこんなに感じてたら、女の子を満足させてあげられてたか心配になるけど」
俺がからかうと、まこは泣く寸前みたいに息をつめた。拗ねるだろうと思っていたので、慌てて背中をなでる。固くなっている背中越しに、まこの触れたらいけない所にまた触れてしまった気がした。
「不安になんてならなくていいよ。チュウだけでいっぱい感じてくれるなんて嬉しいな。まこのかわいーところ、いっぱい見せて」
ね?って首をかしげると、まこは小さく頷いた。
おずおず舌を伸ばすまこを迎え入れる。
「善のべろ、熱くてヤバい」
「まこのとろとろした顔も可愛いよ。チュウだけで腰動いてる。この間、一緒にした時のこと思い出しちゃうね」
「もう下ヤバいから、変なこと言うなて……っ、あっ、」
まこは我慢するみたいに、俺の手のひらを指でぐりぐり押してきた。まるでおしっこを漏らす時に脚を擦りつけて気を紛らわせるのと同じ雰囲気で。
「可愛い、まこ。また今度しようね。きっと次はチュウしながらだともっと気持ちいいよ」
「っあ、っ、だめ、チュウもうだめ、いっちゃいそうだっけやめて……っ」
まこは腕を股間に強く押し当て、体を震わせた。倒れてしまわないよう、力の抜けた体をグッと引きよせる。
息を整えたまこは、俺の胸に顔を埋めたまま、微動だにしない。なんとなくすえた匂いが鼻をかすめた気がした。
俺の想像だと、まこのパンツの中はなんともエロ――いや、可愛いことになっている。
「やだって、言ったんに」
泣きそうなまこがぽつりと呟いた。
「まこが可愛くて止められなかった俺が悪いの。恥ずかしくないよ、俺のせいだから」
遠くからかすかに駅のアナウンスが聞こえてくる。聞きとれないが、そろそろ駅に電車が到着するのかもしれない。
それを聞いたまこは一気に冷静になったらしく、スンとした表情になった。
「ちょっと頭冷やしてくる」
まこは何の躊躇もなく、道路脇の雪の上に上半身をぼすっと埋めた。
「危なっ!傘が刺さってたら怪我するよ?」
「……忘れて」
雪に伏せたままのまこが消え入りそうな声で呟いた。
「何を?」
「……とにかく全部忘れて。チュウしたこととか、その後とか全部」
「いや、無理!もったいない」
思わず素で言うと、まこは泣きそうな顔で俺をキッと睨んだ。
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