7 / 23

2-2

「んン……っ」  蓮は音を立てて深く口づけながら、俺のトレーナーの中にするりと手を入れた。  声にならない声を上げる。  蓮は、余裕がなさそうに熱っぽくささやいた。 「やだったらほんとに腹蹴っ飛ばして」 「え、え……、蓮、何するの?」 「分かんない。オレも自分が何するか分かんないから、ダメなことはダメって言って」  何するか分かんない――どんな風に乱暴にされるのかと思いきや、蓮は、深呼吸を繰り返しながらそろそろと上半身を探っていた。 「大丈夫?」 「う、うん」 「ここ、触っていい?」  乳首の周りをするりとなでられる。 「いいけど、女の子みたいになんないよ?」 「女の子みたいにして欲しいなんて言ってないだろ」  親指と人差し指で、優しくつままれた。  くすぐったいような、変な感じ。  蓮はオレの首筋に顔を埋めて、何かを我慢するように深呼吸しながら、こねたり、くりくりといじったり……。 「んっ……」  なんだろう、妙な感覚になってきた。息が上がってきて、熱い。  蓮は俺のトレーナーをたくしあげると、もう片方の乳首に吸い付いてきた。 「ッ、んん」  チロチロと舌先でなめられると、感じたことのない気持ちよさで、変な声が出た。 「ぁ、……れん、」  ちゅうっと吸われると、自分でも信じられないくらい、甘い吐息が漏れる。 「はぁ、ん」 「やっばい。弓弦、ちょっとオレ……」  顔を離した蓮と目が合う。  半開きの口、切なそうに眉根を寄せて、息を弾ませている――我慢しているのは明白だった。 「大丈夫、やだったら本気で蹴り飛ばすから。蓮の好きなようにしていいよ」  俺が言うと、蓮は一瞬驚いた顔をしたあと、はーっと長く息を吐きながら、俺のお腹の上に頬をぺたっとくっつけた。 「好きなようにしてって……()きつけてどーすんの。弓弦、もうどうなっても知らないからな」  蓮は起き上がると、ソファと俺の体の間に腕を差し込んで、よっこらしょと横抱きに持ち上げた。 「わ!」  ベッドに放り出される。  蓮は、手早くトレーナーを脱いだと思ったら、そのままのしかかってきた。 「弓弦。嫌だったら蹴る、気持ちよかったら素直に気持ちいいって言う。分かった?」 「うん」  ぎこちなくうなずくと、両手でトレーナーをたくし上げた蓮は、乳首をぺろぺろとなめ始めた。 「……っはぁ」  ひとりでに呼吸が弾む。 「ん、はぁ、んン…」  気持ちよかったら素直に言う……と言われたけど、恥ずかしくてそんな言葉が出てくるはずがない。  でも蓮はそれを知ってか知らずか、気持ちいいところばかり攻めてくる。  もしかしたら、反応でバレバレなのかもしれない――だとしたら、言うまでやり続けるだろう。  恥ずかしくてちょっと泣きそうになりながら、小さな声で呼び掛けた。 「……れん、それ…きもちい」 「ん」  蓮はしばらくそこを攻めたあと、ちゅっと音をたてて乳首からくちびるを離した。 「ばんざい」 「う、うん」  両腕を上げると、トレーナーをはぎとられた。  肌を重ねるように、蓮がかぶさってくる。 「ん……これ気持ちいい」  今度は素直に言ってみたら、頭を小突かれた。 「痛った。なんだよ、ちゃんと言ったのに」 「くっついて気持ちいいって言うとか、可愛いからだよ。バカ弓弦」  耳を甘噛みされて、「ひゃっ」と変な声が出た。 「下もいい?」  蓮の手が、するりと太ももに伸びる。 「嫌だったら蹴るってば」 「んじゃ、腰上げて」  言われたとおりにすると、大胆に下着ごと全部取られた。 「わっ」  恥ずかしくて縮こまろうとしたら、足の間にひざを割り入れられてしまった。 「弓弦、ちゃんと感じてくれてる」  うれしそうに言われて、ますます恥ずかしくなった。  それは自分でもとっくに気づいていて、これを見て蓮にどう思われるのか、色々自信がなかった。 「蓮、俺……」  言いかけたけど、するっと裏筋をなでられて、言葉は引っ込んでしまった。 「……っ」  ゆるく握られ、久しぶりすぎる刺激に、脳がしびれる感じがする。 「ん、れん……き、もちいぃ」 「かわい」 「っん、ン、……はぁ」  息が上がって余裕がないけれど、ちょっと理不尽さを感じる脳のスペースはあったらしい。  軽く脇腹に蹴りを入れた。 「ん、ごめん。やだった?」  ぱっと手を離した蓮をじとっと見つめる。 「……っ、なんで俺だけ素っ裸なんだよ……蓮、履いててずるい」  一方的に恥ずかしい状態になってるのは理不尽だ。  蓮は苦笑いしながら俺の頭をなでた。 「ごめんごめん」  ぽいっと脱ぎ捨てると、当たり前だけど、自分と同じものがついていた。 「大丈夫? 見てもやじゃない?」 「ん、嫌じゃない」  むしろ触ってみたい……とはさすがに言えなかった。  ほっとした表情で、また俺のペニスを(しご)きはじめる。 「ん、はぁ……」 「どれが気持ちいいか教えて?」  触る場所、強さ、速さ、リズム……次々変えては俺の反応を探る。 「ぁ、先のとこ。ん、」 「ちゃんと教えてくれる。可愛い」 「蓮が言っ、ん……それも、ぁ」  言われたとおりに素直に伝えると、良いところばかりを攻められて、昇り詰める感覚が湧き上がってきた。 「ぁ、やだ、はぁッ」  やだと言いつつ蹴ることなんてできなくて、蓮ももちろんやめない。  ただただ気持ちいいという感覚と、出すところを見られるのが恥ずかしいという気持ちで、泣きたくなってくる。  空いた片手で乳首をこねられたら、あられもない声が出た。 「弓弦、イキそう?」  手の甲で口を押さえ、こくこくとうなずく。 「見ててもいい? やだったら目つぶる」  優しさだろうけど、そんな質問はやめて欲しい。  拒否するようなことは言いたくないけど、見てなんて言ったら変態みたいだ。  そんな俺の苦悩を知ってか知らずか、蓮はスパートをかけるように攻めてくる。  腹をくくって、『見ててもいい』と言おうとしたのに。 「ぁ、蓮、見ててっ……ッあぁ」  先端のところをぐりっと刺激されて、言葉が飛んだ。 「もうやだ弓弦」 「ちが、ぁあっん……ッ」 「ちゃんと気持ちいい? 大丈夫?」 「んん……はぁ、きもち、い、ぁあ……も、むり……っ」  射精するとこなんて見て気持ち悪くないかな、とチラッと思ったけど、そんな考えは0.5秒で飛んだ。 「ぁあッ、も、あ、いく、…………ッ……!」  大袈裟なほど体が跳ねて、熱を吐き散らした。

ともだちにシェアしよう!