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しばらく放心していたけど、視界がクリアになるにつれ、恥ずかしさで消えたくなってきた。
「蓮、ちがくて……」
最後のを訂正しようと半身を起こしたら、蓮の表情は、色気そのものだった。
その中心は固く反り上がっていて、俺の恥ずかしい姿を見て反応してくれているのだと思ったらさらに恥ずかしくなったけど、同時に、俺も何かしたいと思った。
「あの、俺も蓮のこと気持ちよくしたいんだけど。どうしたらいい?」
「挿れていい? ダメならいますぐ蹴れ」
蓮が身構える。俺は蓮に抱きついた。
顔を見られないように肩に顔を乗せて、早口に言う。
「調べたんでしょ? やり方知ってるならしてよ」
「……いいの? 痛いかもよ」
「別にいいよ」
蓮は、とりあえず俺のお腹に散ったものを拭いてくれた。
ティッシュをゴミ箱に捨てたあと、引き出しをがさごそと開けた。
「こんなもん家に隠し持っててしかも使いかけじゃんとか怒んないで」
言い訳しながら取り出したのは、コンドームとローション。
「別に怒んないよ」
ここで誰か女の子としたのかな、とかはチラッと想像したけど、まあそりゃそうかと思った。
おしゃれな理系大学生がひとり暮らししてて、何もないはずがない。
「あのさ、弓弦に自分でやってもらわなきゃいけない準備があって。でも無理だったらオレ手伝う」
「どんな?」
内容を聞いて、「ギャー」と悲鳴を上げてしまった。
「自分でやる! から! 絶対お風呂に近づかないで!」
「分かった」
顔も見ずにお風呂へ駆け込む。良かった、ユニットバスで。
15分ほど格闘して、げっそりしながら出てきた。
ムードも何もあったもんじゃない。
蓮はBGMの音量を上げてかけていてくれて、さらに布団をすっぽりかぶってこちらに背を向けていた。
「ごめん、お待たせ」
もう気分は冷めちゃったかなと思いながら顔を見たら、さっきよりも上気した顔をしていた。
「ど、どしたの?」
「……記憶の反復といやらしい想像をしていましたすみません」
そう言いながら腕を引っ張られて、バランスを崩してモロに顔から布団へダイブした。
「わっ」
ごろんと転がされて、世界がひっくり返る。
「優しくするから」
余裕のない顔で言われて、ドキッとしてしまった。
かっこいい。色気ってこういうことかと思う。
蓮は、ジェルを手に出し、お尻のところに塗り付けた。
「……っ」
ちょっとびっくりしたけど、気を取り直して、蓮に任せる。
「指、挿れるよ。やだったら言って、蹴ったら危ないから」
「うん」
ぎゅっと目をつぶると、つぷりと指が入ってきた。
異物感、違和感。
気持ち悪さに耐えることはあっても、絶対に気持ちよくはならないだろうと思った。
「大丈夫? 痛くない?」
「ん、痛くない」
痛くはないけど、粗相をしないかどうかで気が気じゃない――さっき格闘したから大丈夫だと信じたいけれど。
蓮は、最初は遠慮がちに中を探っていたけど、「大体構造は分かった」とつぶやいてから、指を2本に増やした。
ぐっと押し広げられる感じ。
「んんっ」
どうしても、眉間にしわが寄ってしまう。
「痛い?」
口をぎゅっと結んだまま、首を横に振る。
「無理しないで言ってな?」
「ん……」
ぐるりと指を回す。
「これ気持ちいいんじゃないかなと思うんだけど、どうだろ」
蓮が、くいっと指を曲げた瞬間。
「ぁッ」
体がビクッとなった。
「気持ちいい?」
「わ、かんない……」
もう1度、同じところを押される。
「んあっ」
「弓弦」
「……き、もちいい、かも」
抜き差しして入口をほぐしつつ、良いところを突かれる。
「はぁ、……っ、ぁあ、ん、…は」
「もう1本足すよ?」
3本の指で中をこね回されると、気持ちいいのと違和感が行ったり来たりで、訳が分からなくなってきた。
「はあ、んっ、……あ、ぁ、」
「もういいかな」
つぶやきながら抜くと、ビニールを破く音が聞こえた。
緊張する。さっき見た感じ、蓮のそれは指3本よりも太いと思う。
でもまあ、気持ちよくしてもらったお礼で、蓮が気持ちよくなってくれればいいのだから、流れに身を任せることにした。
「挿れるけど、痛かったらやめるから」
先端がピタッとくっつき、ぐっと入り口を押し広げてきてた。
思わず息を詰める。
「やっぱきつ……大丈夫?」
首だけで、こくこくとうなずく。
余裕もなく気持ちよく感じていないのはバレバレだけど、ちょっと進んでは休み……を繰り返してくれて、なんとか全部入った。
「大丈夫? 痛くない?」
「痛くはないけど、苦しい」
「抜こうか?」
蓮は俺の表情を見て心配そうにしていたけれど、「やめないで」という嘆願を聞き入れてくれた。
「じゃあ、ちょっと動くよ」
蓮がゆさゆさと小さく体を揺すると、その反動で自然に抜き差しがされる。
動きながらも体を倒してキスしてくれて、少し緊張がほぐれた。
徐々に動きがスムーズになる。自分も、中にものが入っていることに慣れた。
蓮の様子をうかがうと、顔が赤くて、我慢してるんだなというのがよく分かる。
「ん……、そんなに気遣わないくていいよ。蓮の気持ちいいようにして?」
俺が申し出ると、蓮は少し驚いた顔をしたあと、生唾を飲み込んだ。
「自分勝手な感じになるかも。ここつかまってて」
言われたとおり、首の後ろに手を回した。
蓮は腰を引き、元の位置を目指してまた奥へ。
何度も繰り返していると、蓮の呼吸が荒くなってきた。
「蓮、……っ、きもちいい?」
「うん、あったかくてぎゅっとしめてきて、めちゃくちゃ気持ちいい」
自分で言葉にしたら、余計に気持ちよさを感じたのだろうか。
吐息の途中に、うめくような声が小さく混ざる。
「さっき指で気持ちよかったとこ、どこか教えて? うまく突けるか分かんないけど、トライしてみる」
「うん」
蓮が腰を引き、入口の上の方に向けて当ててきた。
「ん、っちょっとちがう」
「前? 後ろ?」
「分かんない」
何度も抜き差しして周辺を探っているけど、抜けそうというところに気を取られてしまって、集中できない。
「もうちょっと強いほうがいいのかな。よいしょっ」
勢いをつけて突いた瞬間。
「あぁっ」
声が裏返った。
「ここだな?」
蓮が何度も腰を振る。
「ぁ、ああっ、はあっ、ん……はぁ」
蓮にしがみつく腕の力が強くなる。
「また奥してもいい?」
余裕のなさそうな声。こくこくとうなずく。
苦しい、気持ちいい、の繰り返し。
蓮の速度は徐々に上がって、ベッドがギシギシと音を立てる。
「ぅ……、イッていい? ちょっと激しくしちゃうかも」
「うん、して」
深くキスをしながら、荒々しく腰を振る。
「…… っ、ゆづる、あー……イくね、ぅあ……ッ」
蓮が俺の最奥で果てるのを、呼吸も忘れて受け止めた。
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