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捜索4
以前贔屓にしていたサイトは、地域を絞り込み検索することができていたので、相手へのアプローチがしやすかった。しかし県内限定のこのサイトにはその機能がなく、仲良くなっていざ逢いましょうとなっても、互いが県の端同士だった場合は、頻繁に逢うことは無理だと分かっていた。
そんなサイトではあるが高校生の書き込み以降、他のユーザーも自分の抱えている悩みを打ち明けはじめ、出会い系の書き込みがぐんと減っているからこそのチャンスだった。
獲物が引っかかりそうな場所へと丁寧に糸を張り巡らせ、蜘蛛の巣を作る蜘蛛のように、目に留まった悩みを打ち明けている書き込みに、高橋は積極的に返信していった。自分好みに調教するなら、近場じゃないといけないという確率を、少しでも上げなければならない。
ゆえに説得力のある理論を交えながら、親切丁寧にコメントを書き込んだ。
あくまでサブポジションのサイトなのであまり期待せずに、メインのサイトを中心に書き込みをしていたある日――。
サイトからメッセージが1通届いていると、メールが着ていた。喜び勇んで記載されたページに飛ぶと、メインのサイトじゃなくサブのほうで、高橋の気持ちが天国から一転、地下へと埋没されていった。
丁寧に返信したせいなのか、皆さん揃って悩みが解決してしまい、その後ハッピーエンドを迎えているらしく、『ありがとうございます』のメッセージばかり届いていた。
どうせ今回も同じだろうと、苛立ちながら手紙のマークをクリックする。初めましてからはじまる文章を、ため息混じりに頬杖をついて読んでみた。
『初めまして。いつもサイトを見ているはるといいます。自分と同じような悩みを抱えている人に、的確なアドバイスをしているコメントを読んで、とても感動しました。人生経験がそうさせているのでしょうか?』
自分のことを多く語らずに、相手の情報を仕入れようとするこの感じ。サイトで個人的なやり取りに慣れた人間なのか、あるいは無鉄砲な若者なのか――いずれにせよ、向こうの情報をここぞとばかりに引き出してやろうじゃないか。
ここから高橋が培った、ネットでの話術が展開されていく。
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