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捜索7

「中山くん、逢ったばかりなのにごめんね。現場でトラブルが発生したみたいで、責任者の俺が行かなければならないんだ」 「そんなぁ!」 「本当にごめん。この埋め合わせは、次回に必ずするから」  引きつった笑顔をそのままに、逃げるようにその場を後にして駅へ引き返したのだった。次回の逢瀬はもうないよと思いながら――。  電車を待っている間にスマホからメインのサイトへアクセスし、中山くんをブロックして二度とアクセスできないように設定した。別のハンドルネームで接触してきたら、そのときに考えることにする。  そんな先週末のやり取りを思い出し、起動したパソコン画面を見ながら,顎に手を当てて考えた。高橋の想像を超えた中山くんのダイナマイトボディ同様に、サブのサイトで自分にアクセスしてきたはるさんから、返事が一向に来なかったのである。 (自分の疑問が解消したから、こっちからの質問をスルーしたのか――)  すべてにおいてタイミングが悪いなと、不機嫌丸出しのまま缶ビールを飲んでメールチェックした高橋の目に、『コメントが届いています』の文字が飛び込んできた。 「どーせこの間のコメントに助けられました、ありがとうございますぅのお礼メールだろう」  卑屈になりつつも、手紙マークをぽちっと押す。 「何だ、これ?」  そこにあったのはサブのサイトからのメッセージで、高橋が予想したお礼メールではなく、長文でぎっしりと書かれた、待ちかねていたユーザーからのものだった。 『石川さんへ  はるです。お返事が遅くなってしまい、すみませんでした。質問に答えてくださっただけじゃなく、自分の抱えている悩みを訊ねられるとは思ってもいなかったので、正直驚いてしまいました。  何から書いていいか分からず、考えている間に時間が経ってしまった次第です。  まずは詳しく自己紹介からはじめますね。俺は○×市に住む大学生で、石川さんよりも年下です。自分が他の友人との違いに気がついたのは――』  ご丁寧に自己紹介からはじまり、これまで歩んできた経歴から初恋の話や悩みに至るまでの個人情報がびっしり書かれている文章を、じっくりと時間をかけて読み倒した。  ○×市という地名で、笑みが浮かばずにはいられない――高橋が住んでいる場所に、ほど近いところだった。  彼からのメッセージの返事をすぐに書き込み、誠実さをここぞとばかりにアピールした。ついでに住んでいる場所が近いということも書き込んでみたら、逢いませんかというコメントが届いた。  あまりのとんとん拍子に、つい最近逢瀬した中山くんのダイナマイトボディを思い出した高橋だったが、美青年でありますようにと心の中でお願いしながら、上手いこと約束を取りつけたのだった。

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