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逢瀬3
「ねぇはるくんは、アッチのことには興味がないの?」
頑丈と見せかけた脆い心を鷲掴みして崩すべく、高橋は流暢に言葉を発した。
「そのことについては……ちょっとくらい、なら」
突然なされた、卑猥な質問に困ったのだろう。頬を桜色に染め、何度も目を瞬かせる。初心なその様子を心の中で嘲笑いながら、どんどん押していこうと考えた。
「そんなの普通だよ。男なんだから性欲があって当たり前だし、適度にヌかないとつらいしさ」
「はあ。そうですね」
「教えてあげようか、男同士のアレ」
高橋の誘い文句に頭が混乱したのか、美麗な青年は口を開けっ放しにして、ぽかんとした表情を浮かべる。
「や、でも……」
困惑する顔を凝視した視線をやり過ごすべく、顔を俯かせたのを確認してから、見えるように手を伸ばした。
「はるくん、手を出して」
(――次々なされるお願いに、頭がついていかないだろう。ゆえに指示に従うしかない)
首を小さく傾げながら、恐るおそる差し出してきた右手を手荒に掴まえ、両手を使って優しくそっと包み込む。こういう緩急のつけ方が、相手の心を手玉に取るテクニックとして、高橋はよく使っていた。
「とても綺麗な手をしているね」
言うなり躊躇なく、親指を口に咥えてやった。
「ちょっ!?」
突然の奇行に青年は慌てて周囲を見渡したが、奥まっている席での行為を誰も気にする奴なんていやしない。
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