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逢瀬13

***  ラブホテルの一室で、どこか不満げな顔をしている青年を見上げながら、正直寝心地がいいとは言えない膝枕で、高橋は寝ころんでいた。  これが7回目の逢瀬――毎回呼び出して行為に及ぶことは、いろんな意味で楽しいが、そればかりじゃ飽きてしまう。 「やっと中で感じはじめたのに、卑猥なことをしないなんて、躰がすごく疼いてしまう。なぁんて考えていたりする?」 「そんなこと……考えてないです」  今日もここで嫌々ながらも、卑猥な行為をするんだと考えにふけった青年の気持ちを先読みし、肩透かしを食らわせるべく、こうして膝枕をするように命令した。  行為に及ぶことよりも、楽なことを言いつけたというのに、顔色が一向に優れないままなのは、やはり気になってしまう。 「本当かなぁ? 俺様の大事なところを石川さんの口でしゃぶって、とことん感じさせてほしいとか思ってない?」 「思っていないですっ!」  ぶわっと頬を染めあげて、そっぽを向いて言い放ってきた。  聞き流すことができずに、初心な態度をとる青年がかわいくて、つい意地悪なことばかりを口にするのは、Sっ気たっぷりの自分の性格を表わしているみたいだ。  こんなことをしていたら、どんどん嫌われるのが手に取るように分かったが、脅して関係を強要している時点で嫌悪されているのだから、嫌いに拍車がかかったとしても、高橋には関係なかった。  でもたまには、最初に出逢った喫茶店での会話のように、笑顔を交えながら話がしてみたいと思ったりもする。まぁここまでこじれているので、それが無理なことは分かっていた。 「……石川さんは好きでもない相手とこんなことをして、何が楽しいんですか?」 「何を言いだすかと思ったら。はるくんが好きだよ」 「えっ!?」 「あ、訂正。はるくんの躰が好きだよ。俺との相性もバッチリだしね」  他の男に触れられる前で良かったと、肌を重ねるたびに思わされる。誰も開発していない場所を探るように触れるたびに、嫌だと口にしながらも、憎らしいくらいに青年の躰がいい反応を示した。

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