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逢瀬22
ぎゅっと握りしめる感じじゃないそれは、すぐに振り解くことができたが、高橋はされるがままでいた。
「これ以上、触れないで……ください。大丈夫です」
躰の昂ぶりを何とか隠そうとする、青年の震えた声を聞いて、微笑まずにはいられない。
「分かった。はるくんの言うことを聞いてあげるよ。何てったって君の下半身が、さっきから嬉し涙を流しているみたいだしね」
それをズバリと指摘した瞬間に、青年は掴んでいた手を放して、両手で下半身を覆い隠した。
苦しげに息を切らしながら「違う」と連呼していても、高橋によって感じさせられるたびに、卑猥な雫を滴らせていたのをしっかりと見ていた。今更隠しても遅いよと、心の中でせせら笑ってやった。
「ほらほら、はるくん。いつになったら動いてくれるのかな。早くしないと、俺が何をしでかすか――」
間髪入れずに、綺麗なカーブを描く双丘へ腕を伸ばして、するりと触れた。
「やあっ……」
今度は高橋の手を退けることなく、思いっきり躰をくねらせた。絡みつくような中の締めつけを感じて、自ら声をあげそうになる。
(こんなに感じさせられるとは、想像以上だ。見目麗しくていい玩具を、あんな場所から発掘できたことに感謝しなければ)
あまり余裕がないのを悟られないように、作り笑いを浮かべて、ベッドの上へと横たわった高橋を、微妙な顔つきで青年は見下ろした。
「このほうが動きやすいだろう? 好きに動いていいよ」
「……はい」
青年は、高橋の躰の脇に両腕を突き立てながら、腰を大きく上下に動かしはじめた。こんな苦痛から早く逃れたいという彼の気持ちを表すように、動きをどんどん早めていく。
「あぁっ……はっ、あっ」
「そんな機械的な動きじゃ、いつまで経っても、俺をイかせることはできないよ。そうだな……。『石川さんとスるのが気持ち良すぎて、おかしくなりそう』みたいなことを言えば、いつもより感じるかもね」
「うっ、そんな、の――」
言いたくなさそうな雰囲気を醸し出した、青年の腰の動きが小さくなったお蔭で、高橋にも余裕が生まれた。
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