3 / 10

第3話

「さむ……」 智彦の家を出てから十分。俺は全速力で走り続け、人通りの多い通りに出た。さっきまで皆で楽しくクリスマスパーティーをしていたのに、今は一人、行き交う人々の中に寂しく溶け込んでいる。それに、ここまで来てから気づいてしまった。着てきたコートもマフラーも全て忘れているって。 「はぁ、」 キラキラと輝くツリーの前に一人で立ち、そうしたところで温まるはずもないのにポケットへと手を入れた。自分の持ち物は全て忘れていたくせに、プレゼント交換用に用意していたマフラーだけは忘れずに持って来ていたから、俺の慎也への想いがそれほどまでに大きかったのかと、ははっと笑うと、鼻の奥がツンとした。 交換だから誰のプレゼントが誰に回るのか予測できないのに、俺は慎也が俺のプレゼントを受け取ることだけを願って、アイツのために選んだんだ。 でも結局は、どうしたって芽依のプレゼントが慎也に回るんだろうけれど。 「ばかみたい」 みたいじゃあなくて、ばかなんだろう。このツリーを眺めるために立ち止まっているカップルの目にだって、俺はそんなふうに映っているに違いない。 はらはらと雪が降っている。今までは降る度に喜んでいた雪だけれど、今はただただ鬱陶しいものでしかなかった。一人で見る雪は、こんなにもつまらないのか。 「 慎也……、やだなぁ、」 明日からもう、慎也の隣にいられなくなってしまうかもしれないと、そう考えたら涙がこぼれた。

ともだちにシェアしよう!