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第7話
手袋を喜ぶ俺と、そんな俺を見て微笑む慎也。恥ずかしさから少し気まずくなり俺は、慎也の顔を見ないようにしながら、プレゼントを慎也の胸に押しつけた。
「……俺も、俺もね、慎也に回ったらいいなぁって思いながら選んだ」
箱を無言で開けていく慎也にドキドキしながらそう呟いた。緊張から息が上がっていく。吐く息が白くて目立つから、マフラーを引っ張り口元を隠した。慎也からすれば俺のこの行動は、親友にプレゼントを渡すだけだから、あまり動揺しすぎだとおかしく思われる。
「……どう? 慎也って青が好きだから、」
「おっ、マフラーじゃん。俺、青好きだよ、
ありがとう。それにマフラー持ってなかったし、すっげぇ嬉しい。これ、宙が巻いて」
白い手袋に包まれたままのその手を伸ばし、マフラーを受け取ると、慎也の首にそれを巻いた。買うときに思い浮かべたとおり、慎也にとっても似合っている。このマフラーを選んで良かったと、改めてそう思った。
「どう? 似合う?」
「うん。似合うよ」
「良かった。俺があげた手袋も宙に似合ってる」
「ありがとう」
お互い交換して身につけた後、どこかカフェにでも入ろうかと慎也が先に歩き出した。置いて行かれないように小走りでついて行くと、隣に並んだ俺の手を慎也がまた握る。寒いからその手袋で温めてと、そういうことらしい。
だけど何も気にしない慎也に対して、俺は周りの目線がとても気になるから。キョロキョロと周りを見渡し、反応を窺った。
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