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第9話

もしかして似ているデザインは迷惑だったかと心配になった時、「どうせなら色違いでも良かったけど?」と慎也はまた笑った。 何を言い出すのかと視界を揺らしていた涙が一気に引く。驚いた表情を浮かべながら慎也を見れば、繋いだ手を俺の目の前まで上げ「ちなみに手袋は色違いだよ。今日は家に置いて来てるけど」と今日一番の笑顔を見せた。 「……っ!」 「仲良しの証拠。色違い、嫌だった?」 「……や、全然! 嫌じゃない、嫌なわけない、よ」  「おっ、良かった」 「……ありがとう」 慎也の言動は理解できない。親友の俺にここまでするか? とやはりそれ以上の関係を期待してしまう俺も、慎也なら特に何も考えずに親切心からやってもおかしくないと冷静に判断する俺もいる。本当の理由は、慎也しか知らない。 でも、ただ確実に分かったことは、俺が、どうしようもなく慎也が好きだということ。そして慎也が、今日は芽依でなく俺を選んでくれたということ。親友の俺でいい。親友の俺を優先させたと、それだけでいい。それだけで俺は、たまらなく嬉しいのだから。 芽依ごめんな。由佳も皆も、ごめんな。 俺も慎也が好き。大好き。慎也だけが、俺の特別。昨日も好きで今日も好きで、そして今、もっと好きになった。明日はきっと今日以上に好きになるだろうし、慎也の隣に親友としていながらも俺はこうしてこれから先も慎也を想い続けていくんだろう。 この気持ちを伝えられなくてもいい。親友としてこんなにも大切に想われているのならば、贅沢なことは言わない。俺はこのままで十分だ。

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