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生徒会のメンバーをどう思うかと聞かれたら、即答で「別に」と答える。
今の彼らに執着はないし、仕事だってしないのなら辞任してほしいとさえ思っている。リコールしたらいいのだろうが、しないのはほんのちょっとの愛着と、同じ生徒会役員として彼らを引き止められなかった罪悪感があるから。
生徒会は生徒に選ばれた謂わば生徒の代表だ。その生徒会が率先して学園内の雰囲気を悪くしては元も子もない。
はたと顔色を青褪めさせた。
歓迎会が終わって数日と経っている。この数日間、ほとんど生徒会室に篭もり、作業の妨げになるからと携帯の電源も切っていた。
仕事を終えて寮に帰る頃には疲れ果てて流れ作業のようにご飯を食べてシャワーを浴びて眠っていたために携帯なんて確認していない。
食堂での騒ぎから、歓迎会中に紅葉に何があったかほとんどの生徒に知れ渡っている。
心配性のクラスメイトと、何かと過保護な親衛隊を思い出して溜め息を吐いた。
忙しくて忘れていた自分に呆れてしまう。あとは風紀委員会にも行かなくては。落ち着いたらでいいから状況説明のために後日来て欲しいと言われていたのだ。未遂とはいえ、強姦をしようとした生徒たちと制裁未遂の親衛隊員がどうなったのか、紅葉には知る権利がある。
「はぁ……でもめんどくさいや」
先ほどのトラブルに気が滅入ってしまい何もかもが面倒くさい。
このまま帰ってしまってもいいだろうかと思ったが、手には生徒会室を後にする理由として持ってきた風紀に提出する書類がある。
どっちみち、風紀委員会に行かなくてはいけなかった。
「あれ、紅葉君? なんか久し振りな気がするネ」
ひとつ階の違う風紀室へ向かうために階段を下りようと踊り場に差し掛かったところ、階下から声を投げかけられた。
面倒くさい予感がして、このまま気付かなかったフリをしてもいいだろうかなんて考えが頭の中を横切った。
「振り向いてくれないなんてヒドいっ無視する紅葉君は拉致って監禁しちゃうゾ!」
「なんですか神原さぁん!!」
不穏すぎる言葉に慌てて返事をすれば、ものすごく素敵な笑顔を浮かべる神原がいた。笑っているはずなのに目が笑っていない神原に頬を引き攣らせて視線を逸らす。
「で、言いたいことはあるカナァ?」
目の前までやってくると、がっしりと肩を掴まれて微笑みかけられた。
「な、んのことぉ?」
「しらばっくれるのかぁ……俺、紅葉君が、いつまで経っても来ないから、すごく、すっごーく、心配、してたのに、なぁ」
一字一句区切りながら言う神原は背後に妙なオーラを放っている。なによりも強調するような区切りが恐い。
「えーっと……ごめんなさい」
「それは何に対する謝罪カナ?」
「迷惑、かけちゃいましたから」
「……はぁ……わかってないなぁ。前々から思ってたけど、紅葉君鈍ちーん! 俺が言いたいのはねぇ」
溜め息混じりに言葉を紡ぎ、長い足で一歩踏み出されると距離はあっという間に縮まった。
「スッゴく、心配したってこと」
ポンと、頭に手を置かれる。
「分かった?」
「と、とりあえず」
「……はぁ……」
諦めたように笑った神原になんだか申し訳なく感じた。
「もうちょっと人に頼ることを覚えなさい。年上からのアドバイス」
「一歳しか違わないじゃないですかぁ」
「紅葉君が嫌がることはしないから安心しなよ。無理やりして嫌われちゃったらイヤだもんネ」
しないとは言っているがおおよその予想はついているのだろう。
「さぁって、風紀室に行こうか」
「え? 書類なら今渡せばいいじゃん。僕が風紀室に行く必要なくないですかー」
「なに言ってんの。ちょうど今白金君が風紀室に押しかけてきてるんだよ」
「えっ」
死亡フラグな気がするのは気のせいだと思いたい。
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