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それから2時間後、未だに俺たちは呑んでいた。宗介さんは凄く話しやすくて話も面白いし、龍介さんもいつも以上に色々話してくれて、俺はかなり呑んでしまった。結構なほろ酔い状態だ。というか、皆も結構呑んでおり、その場は笑いが絶えず、まるで学生に戻ったようだった。 「ねぇねぇ!蒼は俺の事、好きなんだよな?」 「はい、大好きです!」 「よしよし…」 「はははは、龍介、何言わせてんの?!」 龍介さんもかなり酔っており、俺の回答に口の端を歪めて笑いながら、よしよしと連呼している。その横で宗介さんが爆笑している。 「もっと俺のこと知りたい?」 龍介さんが、口の端を上げて聞いてくる。 「えっ!!知りたいです!」 何だろう何だろう。俺は唯の、1ファンに成り下がり、食い気味に尋ねる。その反応に、龍介さんは更にニンマリと笑う。 「じゃあさ、お手しながら『もっと色々教えて下さい、ご主人様』って言ってみろ。」 阿呆な事を言いながら、いつもの口の端を歪めた笑いを浮かべ、龍介さんが手を差し出す。 「ははは、え、いや、お手って、なんですか龍介さん!?」 「いいから!はい!蒼!!お手!!」 「え…っ…」 ポンッ… 「もっ…もっと色々…教えて下さい。ご、主人様……。」 龍介さんの勢いにのまれ、思わず言ってしまった。しかし言っている側から妙な恥ずかしさに襲われ、段々声が小さくなる。 「ははは、馬鹿じゃん、龍介!馬鹿だな!!」 宗介さんが更に笑う。対する龍介さんは、言わせたくせに、ポカンとこちらを見ているだけだ。 「あー、くっちゃいたい…」 「え?」 龍介さんが、何かボソリと呟く。 「このまま持って帰って、繋いでおきたい。」 「え?つな……え??そ、…それは嫌です。」  またボソリと聞こえたけど?!聞き間違いかな…? 「ははははは、龍介、嫌だって!」 何か、変な事を言う龍介さん、そして相変わらず爆笑の宗介さんとで、酔ってぽやぽやした頭で、あぁー呑み会って感じーとぼんやり思った。 ---- 「ねぇ、龍介は中々いい奴でしょ。」 流石に終電が近くなり、そろそろ帰宅するかと言う時間、トイレに行った龍介さんを待ってると宗介さんが徐に言い出した。 「はい。外見もですが、内面もかっこいい人ですよね。」 俺は素直に感想を述べる。 「ねー。俺は、誰か1人に入れ込むなんて絶対出来ないし、そんなのすぐ飽きちゃいそうだけど、今の龍介ならそれも出来そう。昔は龍介も俺みたいに、恋愛クズ人間だったんだけどね〜。音楽馬鹿だけど、モテてたし。」 「そうなんですね。恋愛もきちんと出来るっていいですね。でも、俺も恋愛はちゃんとする方です!今の彼女とも長いから、そろそろきちんと結婚しようと思ってるんです!」 「…え?」 「?え??」 ニコニコした笑顔のまま、宗介さんがフリーズする。俺、なんか変なこと言ったかな…。あ、 「で、でも、宗介さんみたいに、誰にも縛られたくない生き方も、ありだと思います。それが出来るってのも、凄いですしね!」 「…はぁ…」 暗に、宗介さんを否定していたと気づき、慌ててフォローをするが、俺のフォローは宗介さんに響かないようだった。俺の馬鹿っ!慌ててフォローするから、なんか変な感じになっちゃってるし! 「…これは…、面白い…。いや、恐ろしい…。彼女が居ても、強引にやりそうなのがまた見ものだな…。」 俯き、顎に手を当て、宗介さんが何やらブツブツ言っている。 「宗介さん?すみません、俺、変なこと言っちゃって」 「あ、いやいや!俺は気にしてないよ!俺はこうしてダラダラ生きてくつもりだから〜。」 そう言って、宗介さんはヘラヘラ笑う。良かった。気にしてないようだ。 「でも、それ、なるべく龍介に言わない方がいいかもね〜。いや、いっその事こと、早めに言っちゃったが良いかな〜??」 「?なんでですか?」 なんだ。マネージャーの恋愛っていう必要あるかな?あぁ、今って時に、家庭重視したくて〜とか言われたら困るからかな。 「何話てんの?」 そこへ龍介さんが戻ってきた。 「いやー、別にー。明日の天気について。」 「…あそ。」 龍介さんにいうべきか少し迷ったが、まだ彼女にプロポーズもこれからだからと、とりあえず俺は考えるのをやめた。

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