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「ふっ…う…!」 「あーお、おら。早くしねーと打ち合わせに間に合わねーぞ。」 (そんな、こと…、言われても…) 龍介さんは俺の前に立ち、俺の腕時計を片手にニヤつきながら急かす。対する俺は、便座に足を広げで座っている。問題なのは、俺は下半身は下着もつけておらず、上半身のシャツもはだけており、両手で自身を握っていると言う点だ。『時間内で自慰を最後までしろ』と命令された。しかし、煌々と明るい個室内で、至近距離で龍介さんに見つめられ、俺は立ちすらしない。寧ろなえる。当たり前の反応だ。 「…ふっ、龍介さん…もう…」 「蒼が出すまでどんなに泣いても終わんないから。」 許して欲しいと訴えてみるが、この行為の終わりは望めないようだ。龍介さんはカチャカチャ俺の腕時計を片手で弄りながら、冷たく言い放つ。 「何嘘ついてるか言ってみろよ。言ったら考えない事もない。」 もはやぐしゃぐしゃになり、緩みきったネクタイを再び龍介さんに引かれる。 「ぐっ…!くっ!!」 首がしまり地味に苦しくて、ぐぐもった声を漏らしてしまう。 「嘘なんて…ない、ですっ!」 「…ちっ。苛々させんなよ。」 辛くて今解放されたくて全て言いたくなるが、もう後戻り出来ない。龍介さんは俺の回答に舌打ちをする。 「ほーら、手ぇ止めるといつま経っても終わらねーぞ。」 「うぅっ……。」 仕置きとばかりにネクタイを更に引かれ、続きを促される。俺は仕方なく、泣きながらゆるゆると自身を抜く手を再度動かす。 「はは、全然だな。そうだな、蒼が可愛くおねだり出来たら、手伝ってやるけど?」 おねだり…? 全く終わりの兆しを見せない俺に、龍介さんが笑いながら提案をしてくる。なんと言えば分からず、龍介さんを見上げるも助けてはもらえそうにない。そんな事、分からないししたくない。しかし龍介さんの提案は、提案の形をした命令で、やらないと終わらない。 「龍介さん…、手伝って、下さい…。」 「はっ。なにそれ?」 恥を忍んで言うも、鼻で笑わる。ただでさえ顔から火が出そうな程赤い顔が、更に赤くなり熱くなる。堪らずにくっと俯くと、顎を掴まれ上をむかされる。 「蒼は、気持ちよく、なりたいの?」 「……うっ……、なり、たい…です。」 なりたくない。 「こんな駅ビルのトイレで?」 「外のトイレで…、気持ちよく、なりたいです………。」 そうだった。ここはいつも買い物に寄るような駅ビルで。再確認させられて、更に羞恥心が増す。 「ふっ、淫乱。」 「淫乱、で…す。…すみません……。うっ…ふ……」 誰に謝ってるのか。恥ずかし過ぎて謝罪の言葉が漏れる。涙も出てしまう。 「ふふふ、俺の蒼は淫乱で、可愛いな。」 「ふぅっ……っ…、龍介さんの、です…。」 涙が。 龍介さんは「まぁ、いっか」と軽く呟き、更に距離を詰めてくる。ビクリと思わず身構えると、龍介さんの笑みが更に深くなる。黒い微笑み。 龍介さんが俺の前で屈み、軽くキスを落としてくる。最初は軽いものだったのが、だんだんと深いものになる。 「はぅっ……」 そのまま胸を触られ、乳首をグリッとされると妙な声が出てしまう。 「ふっ」 俺の声を聞き、龍介さんは一度唇を離して俺の痴態を笑い、目を合わせたまま俺の下半身に触れてくる。 「うぅ…くっ……」 優しく触られ、俺が呻くと龍介さんは目を細めて舌舐めずりをした。優しい手つきは段々と荒いものになり、下半身から水音がする。 「ふぅっ……ぁっ…やっ……。」 「手伝ってやってんのに、何してんだ。終わんねーぞ。おらっ。」 「っあぁっ…!」 思わず腰がひけてしまうと、叱られ、ぐちっと、握り込まれる。 「ふぁっ……あっ、やめっ……うぅっ…!」 「はぁ?蒼がねだったからやってやってんだろーが。」 含み笑いしつつそう言って、龍介さんは深い口づけをしてくる。あぁ、あたまが、ぼんやりし、て、…… 「泣いてる顔ぐらい、今の顔良いな。」 思考が鈍っており、龍介さんの言葉が処理できない。 「ふぅっっ、あっ…くっ!!…っ」 そうこうしているうちに、俺はあっけなく達してしまった。

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