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龍介さんと俺は対面座位の形でベッドの上にいた。俺は休む事を許されず、龍介さんの上で動いていた。
「あっうっっ、きもちっっ!!…っっっふっ、いっやっっ!気持ちぃぃぃぁあっだっ…いっ!」
「はっ…イッた?」
「………っ!はいっ…
!龍介さんっ!だからっ、もうっっ!ふっ!あぁ、だから、もうっ!」
正直、感覚的にはさっきからずっとイッてる。しかし、解放されたくて、龍介さんの問いかけに俺は頷いた。そして、暗にもう終わりにして欲しいと伝える。
「だーめ。まーだ。蒼があんな事して、俺結構ムカついたし。あと、3回は自分でイケよ。」
「ふぅっっ、う〜〜っっ!ごめっ、なさい…。ごめんなさい…。あっ、」
チャリチャリと俺の足首から音がする。そこには、俺がこの家から逃げようとしたところをみつかり、繋がれた鎖がついていた。
「あお、気持ちいい時は何ていうの?」
「はいっ…っあぁっっ!ふっ、気持ちぃ!ふぅっ!きもちっっ!あっ、あっ、あ゛ぁっ!」
身体がイッた直後で身体が震えて、それでも動き続けるのでおかしくなりそうだ。しかも俺の気持ちの良いところを外すと咎められ、止まると咎められ、終わりが見えなくてキツい。あと3回とは言われたが、何処から何処までがイッてるのかどうなのか、もはやよく分からない。
「あ゛ぁぁっっ!うぅっっ、もっゆるしてっ下さいっっ…!も、ゆるしてっっ!」
堪らず、俺はボロボロと泣いてしまった。
「ははっ、良いツラしてんなぁ?」
龍介さんがサディスティックな笑みを漏らした。
「あ゛あぁぁっ!あたまっっ、おかしっ、く、なりそっ!いっっ!ふっ、きもちっっ!やぁっっ、ゆるして……っっ!」
「はっ、俺も、気持ちいい。蒼っ、トロ顔、すげー可愛い…。」
イッても、もう何も出ない。始めてから何時間も経ってるんだから。苦しい。早く終わって欲しい。どうやったらこの行為が終わるんだ。そればかりが頭を占める。
いつも、いつもはどうやって。
俺は必死に頭を動かし、その結果。
「ふっ」
「!」
龍介さんが意外そうに目を見開いたのが、目の端に見えた。俺は龍介さんに自らキスをした。舌先を絡めて、強請るような誘うような淫らなキス。
「ぅう゛、ごめんなさい…。もっ、し、あっ、しません……!ふっぅっっ!逃げません…。」
「ふーん、それで?」
龍介さんがニヤリと笑った。
「あっ、……ふっ…!」
龍介さんがいつもいうこと。きっと、今の目的地。
最初ここに閉じ込められて、言われた事を思い出す。
『Ωになって。俺の番になって。』
「俺を、……っ、龍介さんのΩにしてください。すっ、あ、あい、してますっ。龍介さんの、番にして下さいっっ!」
そう言って、またキスをした。
「ふっ、煽るの上手。」
龍介さんの機嫌が一気に上昇するのを感じた。そして、俺は龍介さんに押し倒され、向き合った形で上にのし掛かった龍介さんに再び挿入された。きっと、これで、終わりは近づいた。はずだ…。
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次の日の朝、起きると龍介さんはいなかった。書き置きを見ると、22時に帰るらしい。
「…」
リビングに出て、温かいコーヒーを入れて飲む。
チャリ…
足元から鎖の音がして、ホッと一息とはいかなかった。
足下の鎖は、室内を動き回るに余裕がある程度には伸ばされている。
(このままじゃ…おかしくなる。)
龍介さんに俺をΩにすると言われ、薬も飲まされているが、本気なのだろうか?最初は疑いが大きくて、そんな事無理だろうと思っていた。しかし、最近、自分の体が変わってきた気がする。気分の問題かもしれないけど…。また日常的に接する唯一の対象である龍介さんに、気持ちが依存してきている気がする。何よりも、雪子の事を考える時間が確実に減ってきており、それが1番恐ろしい。
(どうにか、どうにかここからでなければ…)
その考えが無くなると同時に、自分もなくなる気がする。
そうやってうだうだとしているうちに、あっという間に21時になった。ここからは更に気分が重い。
俺はΩじゃないから、セックスするには準備がいる。その準備を龍介さんの帰宅に合わせて行わなければならない。
帰って来て欲しいような、帰って来て欲しくないような…もはや、自分の気持ちがよく分からない。
とにかく準備はしないと。でなければ、龍介さんにみられながらする事になる。
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