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「あっ、うぅっ、ふっ、〜〜っ!はっ、きっ、気持ちいぃっ、…っ、やっ、こわっいっ……っ、うぅ…気持ちぃっっっ!」
「そっ?」
番契約を結んだ後、俺は龍介さんのマンションに戻った。戻ってからは、鎖で繋がれる事はない。そもそも龍介さんから離れられる気がしない。何に縛られる訳でもないが、確実に何かに縛られている。それは自分の意思があるようで、ないようで、奇妙な感覚だった。
龍介さんに正常位で入れられて、相変わらず気持ち良い気持ち良いと言う。この感覚すら、俺のものがどうか疑わしい。
「ん゛ん゛っっつ!〜〜っっっ!」
「んっ!…はっ。蒼、一段とエロくなったな。」
「あっ」
龍介さんの顔が近づいたかと思うと、口づけられる。ただのキスが凄く甘く感じる。おかしいと思う反面、俺の番だから、番とのキスだからそうであって当たり前だと思う。
ずきん
「っ」
頭が痛い。
「……蒼?」
顔をしかめた俺に、龍介さんが顔を覗き込んで聞いてくる。
「あっ、ぅっっ………」
愛おしい。
違う、そんな対象じゃない。
触れたい。
怖い、離れたい。
ずっと側に居たい。好き。
ここに居たくない。帰りたい。
一体、どれが自分の感情で、どれが、Ωの本能?感覚も、思考も、番契約がそう思わせてる?俺の意思は、何処?これは現実?なに?俺は、どこ?何処に行った?ここ、何処?
「どっ………う゛わっっ!」
「あっ、」
俺は盛大に吐いた。まるでゆらゆらと揺れる船の上にずっと乗っているようだった。目の奥がズキズキと痛み、ぐらぐらする。
そしてその感覚は日に日に強くなった。酷い時は、自分が偽物か本物かも分からない。相変わらず、酷い頭痛も治らない。何の前触れもなく吐き気に襲われる事も日に日に増えた。遂には、ベッドで寝て1日を過ごすようになった。
「蒼…」
ベッドに寝ていると、龍介さんが側に来ていた。俺は起きていたけど、体を動かす気力もなく目を閉じたままでいた。そもそも、これが夢か現実か、俺にはとうに分からない。だから元より、起きる必要は無いのかも知れない。
「……ごめん…」
龍介さんの手が俺の頬に触れた。少し震えている気がした。冷たい。
「愛してる……」
冷たいって事は、これは現実?
「ごめん…。愛してる……ごめん…ごめん……」
ぽたりと、頬に水滴が落ちてくる。
あれ、やっぱり現実?
「解放する…。」
龍介さんの声は今までに聞いた事が無いくらいに、か細くて弱々しい。
……やっぱり、これは夢かな…。
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