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第18話 ムギとちぎれた理性3*
濡れた瞳で頷くムギの頬を撫でてから、俺は慎重に身を沈めていく。
「……ッん、う……う」
後ろからゆっくりとムギのなかを押し開いて、腰を進める。
「ふ……」
ムギのなかは、狭くて必死に俺のものを締めつけてくるけれど、やわらかくて温かい。
「ん、ムギ……」
「あ……、んんっ」
じわじわと奥へ侵入して根本まですべてを収めきると、俺は息を吐き、綺麗な曲線を描くムギの背中にくちづけを落とす。
「痛くない? 大丈夫?」
「ちあ……き」
「ん?」
「チアキの、熱い……」
はあはあと呼吸を乱しながら上擦った声で伝えてくるムギ。その手が俺の存在を確かめるように腹部を擦るのを見つけて、ムギのなかに収まったものがさらに存在を強くする。
「……ッ……」
「あ……っ」
それを直接感じたムギが小さく吐息をこぼす。
すぐにでもなかを穿ちたいのを堪え、ムギの腰をしっかりと掴みなおすと腰を揺すった。
「んぅ、ふぁ……っ」
「……ムギ、ムギ」
しばらくそうして、ムギのなかが馴染じむのを待つ。
腰を掴んでいた手の片方をムギの腹に回して、そっと撫でる。
「ン」
キュンと、なかが締めつけられる。それを合図に俺は大きく腰を回した。それからなかのものを引くとふたたび奥へ向かって押し入る。
「んんぅ……っ、ん、ン!」
出たり入ったりを繰り返しながら徐々にペースを早めていく。
「ひぁ……あうっ」
そうしている内に擦りあげるとなかがうねる場所を見つけて、集中的にそこを刺激してやる。
「やあ……っ、や、そこ、やっ!」
「ここ? ここが、気持ちいい?」
シャツの裾から手を忍ばせて、ムギのツンと尖った突起を探りあてる。そこを親指と人差し指で弄りながらムギの気持ちいいところを何度も擦りあげた。
「やっ、ちあき……だめっ、だめぇ」
可愛らしく揺れていたムギのものから白濁が吐きだされるのを確認して、俺は一旦張りつめたままのものを抜きさる。
「ん……っ」
後ろからの方が受け入れる側の負担は少ないらしいのだが、顔が見えないことと、キスがしづらいことが難点か。
「ムギ」
俺はくったりとソファに身を預けているムギを抱き寄せると、生理的な涙に濡れて頬を指で拭う。それからそっとソファに仰向けに寝かせると、まだ閉じきらないそこを今度は正面から貫いた。
「はぁうぅ……!」
きゅうっと眉を寄せて気持ちよさそうに体をくねらせるムギの腰を掴むと、色っぽく開いた唇を塞いで腰を打ちつける。
先端が何度も奥を叩いて、そのたびにムギの内壁が俺のものを締めつけてきた。
「ふぁン、ん、ん、んっ、ん」
「は……ムギ。かわいい」
頬を上気させてとろとろに蕩けた表情で俺の動きに合せて腰を揺らすムギがいやらしくて、堪らなくかわいい。本当にかわいい。
「あ、あ……チ、アキっ、も、いくっ、また、いっちゃ……っ」
「……ん、いいよ。俺も出そう。一緒にいこうね」
限界を訴えてくるムギに笑いかけると、追いあげるように腰を打ちつけた。ムギが首を左右に振って、きゅうきゅうと搾りとるように俺のものを締めつけてくる。
腹に濡れた感触がしたのとほぼ同時に、俺もムギのなかに熱を吐き出した。
「ん、ん……熱、い」
「ムギ……」
「ふぁ」
ふるりと震えながら熱い吐息をはくムギのなかに注ぎこみながら、唇を吸う。しばらくのあいだそうやってお互いの口内を堪能すると、横になった。
「チアキ」
なかのものを抜いて、ムギの体をきれいに拭いて落ちつくと、ムギが顔を擦り寄せてくる。俺はそのやわらかな頬を撫でながら首を傾げた。
「痛いところはない?」
その問いかけにムギがコクリと頷く。
「ん……気持ち、よかった」
ほんのりと頬を染めながら瞼を伏せるムギに、言葉を失う。危うく落ちついていたはずのものが復活しそうになって、全力で静めるとムギを抱きしめた。
「あー。そういうこと言われるとまたしたくなるからストップ」
「だめなの?」
「……だ、めっていうか。ダメだろう。ここ学校だし、もう午後の授業はじまってるし。それにムギの体の負担になる」
まさかそんな返しがくるとは思わず、ひどく動揺してしまう。改めて時間を確認するとすでに昼休みは終わり、午後の授業に突入していた。
俺はともかくムギに授業をサボらせてしまったことにショックを受ける。
ムギがかわいすぎるからとはいえ、なにをしてるんだ俺は。学生らしからぬ自身の行いを振り返り、猛省する。
「ごめん。ムギのところには俺から話しとくから、安心して」
Ωクラスなら、αの我儘に付き合わせたと伝えればお咎めはないだろう。勉強も、もし追いつけないようなら俺が教えるとして。
あれこれと考えているとムギがこちらを見つめながら、パチパチと瞬きを繰り返す。
「チアキって、真面目?」
「ムギのことなんだから当たり前だろ。立場悪くしたくないし、真面目に考えるよ」
「……」
俺は自分の群れに属してくれたΩは全員大切にするつもりでいるし、責任をとる覚悟で群れに入れる。だからこれくらい当然のことだ。
「今回のことだけじゃなく、困ったことがあったらなんでも頼って。ムギのためだったら俺にできる範囲でならなんでもするから」
約束、と言って指切りをすると、ムギはキョトンとした顔でしばらくのあいだ自分の小指を見つめていた。
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