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if番外編 ハーレムを築けなかったら7*
7.あまい
元毅の舌を吸いながら締めつけてくる内部を規則正しいペースで穿つ。
きゅうきゅうと俺のものを食む元毅の中は熱くて、やわらかくて。息を乱しながら唇を離すととろりとした表情の元毅に見上げられて、ぞくりと肌が粟立った。
「……ん、元毅」
「ふ……」
ちゅ、と触れあうだけの口づけを落として、元毅の太股を押し上げるとぐっと腰を押しつける。
「ンんっ」
シーツを掴んだ元毅が仰け反って喉をさらけだす。そんな元毅のさらに奥深くまで熱くなったものを突き入れた。
「んぁ……っ、ひぅっ」
熱のこもった吐息を洩らしながら奥を叩く。
びくびくと感じ入ったように目蓋を下ろして震える幼馴染みはひどく色っぽくてつい見入ってしまう。
この姿は自分だけが知るものなのだと思うと、ひどく煽られた。
「あ……っばか千耀……これ以上、でかくすんな……っ」
息を詰めた元毅に涙目で睨まれて咎められたけど、そういうのは逆効果だと思う。
「元毅がかわいいからむり……早く俺のに慣れて」
「……っ」
馴染ませるように腰を揺らすと、元毅が真っ赤になって震える。
感じてくれているのが嬉しくていとおしくて、上半身を倒して唇を塞ぐと元毅が敏感に反応する場所を集中的に穿った。
「ふぅ……っ、んぅ、んん!」
くぐもった声をあげていた元毅の締めつけがきつくなったかと思うと、腹の間に挟んでいたものから熱い飛沫がとんで腹を濡らす。
痙攣してうねる内部に俺も持っていかれそうになって、中のものを引き抜く。
「っひぁ……」
弓なりになって震える元毅の腹に白濁を放った。
はぁはぁと荒い呼吸を調えながら元毅に覆い被さる。
ひどく満たされた気分で、いまだぴくぴくと震えている元毅の額、目蓋、頬へと口づけを降らせた。
「大丈夫?」
「……っ、……はぁ……」
「痛くない? ……元毅も、気持ちよかった?」
両手でそっと顔を挟んで尋ねると、元毅は恥ずかしそうに目蓋を伏せて小さく頷いてくれる。
かわいい。
いやもう本当にかわいくてやばい。
「……なか」
「ん?」
しばらく唇を噛みしめて悶えていたら、元毅がぽつりとなにかをつぶやいたので、耳を近づける。
「なかに、出さなかったけど……」
「うん?」
「なんで……?」
「……」
辿々しくなぜ中出ししなかったのかと問われて、くらりと眩暈がした。なんてことを聞くのかと動揺する。
「学園内だし、中にだしちゃったら元毅が大変だろ」
「あ……そ、か」
内心は冷静からはほど遠かったけど、なんでもないふうを装って答えた。
それにぽけっとしていた元毅がはじめて合点がいったというように頷いた。
まだどこか熱に浮かされたようにぼんやりしている元毅は犯罪級にかわいくて、ちょっとどうしていいかわからない。
「中に欲しかったの……?」
「っ」
本当にあの幼馴染みの言葉なのかと疑いながらも確認すると、かぁっとこれ以上ないくらい顔を火照らせてふいっと顔を反らされた。
それに言葉を失う。
「……」
それからひとつの可能性が頭に浮かんで、一度まさかと否定した後いやでも、と考えなおす。
そしてやっぱりそうなのではないかという結論に辿り着いて愕然とした。
腕で顔を隠している幼馴染みを、おそるおそる覗きこむ。
「……元毅」
「……」
「ちょっと待って。いつから?」
「……」
元毅は聴きたくないとばかりに耳を塞ぐと、ごろりと寝返りを打って小さくなる。それに俺の疑惑は確信に変わった。
「いつから、俺のこと好きでいてくれたの?」
オメガのフェロモンに当てられて堪えていたときに、俺が元毅を好きなら触れてもいいと言われて。
嫁探しに大噛学園に入ったのも、俺がオメガと仲良くなるのも嫌だと伝えられて、多少は自惚れていたけど。
だけど、これって俺が思っていた以上だったんじゃないのか。
頬をむにっと軽く引っぱると、パチリと手を打ち落とされる。
「べつに、いつからだっていいだろ」
「言いたくないほど前からなんだ」
「……」
俺の言葉に苦々しい表情になる元毅に、それが図星なのだと教えられる。
元毅とは俺たちが生まれる前から家が隣同士で、物心ついた頃にはもう隣にいたような間柄だ。
それだけ長いつき合いだというのに、これまでまったく元毅の気持ちに気づかなかった。それに地味にショックを受ける。
「ごめん」
「言うつもりなかったし、隠してたんだから。謝んな」
ベータがアルファのことを好きになってもどうしようもない。だから、これまでずっと気づかれないように振る舞っていたのだという。
嫁に来てくれると言ったのも、俺を慰めるのが目的でそれ以上の意図はなにもなかったらしい。
それを本気にした俺って……。
いや、でもまったく本気じゃなかったとしてもその言葉がなかったら今はなかったのだから、良しと考えよう。
無理やりそう結論づけた。
「――――元毅。すき」
「!?」
「大事にするから、これからも俺のこと好きでいてね」
横になったまま幼馴染みをぎゅっと抱きしめる。そうしながらこれまで気づいていなかった分も取り戻せるくらい、大切にしようと決めた。
「ばっかじゃねーの……」
元毅の憎まれ口が今日は甘いものに感じられて、その肩口に顎を乗せた俺は、頬を緩めて幸せを噛みしめた。
おわり
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