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第5話

誰かと話しているところを邪魔するのは悪いので、一葉は素通りしようと決めた。しかし、理玖が誰と話しているのか気になる。横を通るとき、チラ、と目線を彼らに向け、息が止まった。 理玖と話していたのは、驚くほどに精巧な作りの人形のようだったからだ。彼は艶のある黒髪を耳にかけ、繊細な顔にピッタリな銀色のピアスをしていた。白い顔にアーモンド型の目、真っ直ぐな鼻に薄く赤い唇。美少年とはこういう人のことを言うのかと、どこかで納得する。 彼と理玖は、見るからに別世界の住人とも呼べるほど絵になっており、彼らの周りに花が咲き乱れていてもおかしくないような、そんな雰囲気だった。 そして一葉は、これが風と風か、と、一人思う。周りがいつもより落ち着かなかったのも、彼らのせいであろう。だって、みんなが彼らを見ている。チラチラか、ジッとか、度合いは異なるにしろ、みんなが彼らを意識していた。一葉は、そんな彼らの一人と友達であることを誇りに思ったし、もう一人の彼に対しても憧れを持つようになった。 しかし、それと同時に、彼とは関わりたくない。そんな心の声が生まれたのも、事実であった。

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