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第6話
自分に自信がない一葉は、綺麗な人が苦手であった。彼らは人を魅了して自分の思うがままにしてしまう。それに、どこか冷たそうな彼は、理玖と違って話しずそうだ。
そう判断した一葉は、そのまま中庭へと向かった。
彼の決意は、すぐに揺らぐことになる。
「ーーーえ?」
「一葉。こいつは桃井奏矢って俺の友達」
「よろしくね、一葉」
どう考えたら彼がーー奏矢がここに来ると予想できたのだろう。中庭に現れたのは、まさかの理玖と奏矢だった。
「あ…よ、よろしく」
しかもいきなり呼び捨てだ。見た目に反して、接しやすい人物なのだろうか。
「あー腹減った。食おうぜ」
そう言って理玖は購買で買ったパンを、奏矢は家から持ってきたお弁当を、一葉は市販のヨーグルトを食べた。
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