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第7話
「二人はいつから友達なの?」
不意に、奏矢と名乗る男が一葉に聞いてきた。いきなり何故そのようなことを聞くのだろう、と不思議そうな顔をしていたのだろうか。奏矢は続けて、「や、理玖が友達を作るなんて珍しいし、君のこと初めて見たから」と言う。
それを聞いて、理玖と奏矢は長い仲なのだと察する。奏矢はもしかしたら自分のような奴が新しい友達で気に食わないのかもしれない。どうしようと思いつつも、「つい最近だよ」と答える。思えば一葉は転校してからまだ2ヶ月しか経っていないのだ。
「こいつ転校生だから」
理玖もフォローに入る。それを聞いた奏矢が、突然フフフと微笑む。一葉はその美しい笑みに思わず見惚れてしまった。本当に綺麗な人だなぁ、と。
「理玖が君みたいないい子と友達になってくれて良かったよ、ありがとうね」
そしてまさか自分にお礼を言ってくるなんて。こちらこそ頭を下げたいくらいだ。
「ぼ、僕こそ理玖にいつもお世話になってて…その、ありがとうございます」
その言葉に対して、今度は理玖までも笑い始めた。二人して笑うとさらに迫力がある。精巧な人形みたいだ。
また見惚れてしまい、ヨーグルトを制服にこぼしてしまう一葉であった。
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