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第8話
「一葉」
その昼食以降、一葉は奏矢に会うたびに声をかけられるようになった。彼が声をかけると、周囲の人が何事かと注目してくる。そして一葉の顔を見てまた興味なさげに顔を逸らすのだ。一葉はそれが嫌で、奏矢を見かけたら避けるようになった。
しかしそれも長くは続かなかった。その日、一葉はなんとなく身体が痛く、怠いように感じた。
それも続けばさらに悪くなっていき、授業中なのに全く内容が頭に入ってこない。見かねた理玖が、一葉を保健室まで連れてきてくれた。
「熱測れよ」
渡された体温計で熱を測ると、38.1。思ったより熱があったようだ。
理玖は早退することを勧めたが、家に今誰もいないと告げると、
「俺が看る」
とだけ言って帰る支度をし始めた。
「悪いからいいよ」
と言っても聞かなかった。こうして、一葉の家に理玖が来て看病することになった。
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