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第10話

「……なら、……って」 「や、………っただろ」 人の声がする。家族が帰ってきたのだろうか、いや、それにしては早すぎる。そこでふと理玖が看病に来てくれてることを思い出す。怠い体に鞭打って起き上がれば、目眩がした。まだ熱はありそうだ。 階段を下りれば、声がどんどん近づいてくるのが分かる。理玖は、誰かと会話しているようだった。____電話ではなく、直接。家に、誰か来たのだろうか。 リビングの扉を開けると、そこには理玖と、_____奏矢がいた。二人は扉を開けた音で同時にこちらを見た。 「あ、一葉。体調まだ悪そうだな。奏矢呼んでお粥作ってもらったけど食欲ある?」 「一葉、勝手に家に入ってごめんね。こいつ料理できないし、心配で来た。ここに座って」 奏矢に至っては、最近避けていたから気まずく、こんなに親切にしてもらって申し訳なく思う。 「……二人とも、ありがと」 寝起きで掠れた声は二人に伝わったようで、優しく微笑まれた。

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