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第11話
体が熱いのに、寒気がして震える。視界もぼんやりとしてままならないが、二人が仲良く会話しているのは分かった。
一葉は皿に盛られたお粥と梅干しを少しずつ口に含んだ。美味しいが、食欲が全くない。三口くらい口に入れたところでもうギブアップだった。
「…ごめん、せっかく、美味しいお粥、作ってもらったのに、もう、無理…」
しゃべるのも辛いほどだった。そんな一葉を見た二人は、一葉に無理やり清涼飲料水を飲ませ、理玖は片付けを、奏矢は一葉をベッドまで送ることにした。
「俺に捕まって」
そう言って少し屈まれるが、理玖ほど身長が高くなく、細身な____と言っても、一葉よりは体格が良かった____奏矢に寄りかかるのはとても申し訳なかった。しかし意外と筋肉があるのか、奏矢はフラフラしている一葉を難なく支えると、部屋まで連れて行き、ベッドに寝かせた。
「早く治るといいね」
「…お見舞い、来てくれて、ありがと」
美しい顔で悪意なく微笑まれると、避けてきた自分が情けなく、また奏矢にも申し訳ない気持ちでいっぱいになった。
「…こんなときに言うのもどうかと思うけど、今しか言えないから聞いて。もしかして……俺のこと避けてた?」
ふいに、奏矢が真剣な顔で尋ねてくる。いつもなら嘘が下手な一葉は、下手なりにバレバレの誤魔化し方をするのだが、熱で苦しい今、感情を素直に表現してしまう。
「……うん」
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